スポーツと視力 サッカー/バイクレース/バトミントン/スケート/水泳/その他
ご存知でしたか? スポーツ競技の結果に
案外知られていない
スポーツと眼の機能の関係・・・
■眼の視機能項目
①.静止視力 ②.動体視力 ③.眼球運動 ④.焦点調節/輻輳・開散 ⑤.深視力 ⑥.瞬間視 ⑦.眼と手・足の協調性 ⑧.周辺視力 ⑨.視覚化能力 ⑩.視覚集中力 ⑪.コントラスト感度 ⑫.光感度等が視機能としてスポーツどきに重要である。また他のスポーツ競技にとっても各視機能の重要性はとても大事です。
視機能が未熟なことは、スポーツにおいてはボールや周囲に対する認識を遅れさせ、プレーに正確性を欠いたり、反応が鈍くなったりすることが考えられ、スポーツの競技結果は必ずしも運動能力だけが原因とはいえず、視機能の未熟さもその一因であると思われる。スポーツビジョン研究会より公表されている。
■スポーツ競技もいろいろですが、その競技と眼の「上記視機能項目」が総合的に高い競技の順位を挙げてみました。
1).卓球 2).テニス 3).バレーボール 4).スキー 5).バトミントン 6).各種ラケットボール 7).アメリカンフットボール 8).ラグビー 9).スケート 10).カーレース 11).バイク 12).サッカー 13).バスケットボール 14).アイスホッケー 15).サーフィン 16).ボディボート 17).スケートボード 18).体操 19).自転車 20).格闘技 22).ゴルフ 22).野球 23).ソフトボール 24).陸上競技 25).水泳 など。上記のスポーツはとても眼の機能にとって、運動能力にも差が認められる競技と思われます。
例えば・・・・・
12).サッカー:
サッカーは、あらゆる項目において、高度な能力を必要とするスポーツです。必要レベルを5段階で表示すると ①.静止視力=3 ②.動体視力=4 ③.眼球運動=5 ④.焦点調節/輻輳・開散=3 ⑤.深視力=5 ⑥.瞬間視=5 ⑦.眼と手・足の協調性=5 ⑧.周辺視力=5 ⑨.視覚化能力=5 ⑩.視覚集中力=5 であります。「静止視力」の重要度がやや低いのは、ボールが大きいためです。「動体視力」は、ゴールキーピング、クリアなどに必要です。「眼球運動」の重要度の高さは、非常に広い範囲でボールが移動し続けるためです。また、ボールと敵、味方のポジションを常に見ておかなければならないので、「周辺視野」「瞬間視」などのの高い能力も要求されます。「眼と手・足の協調性」は、ゴールキーパと他のプレーヤーに不可欠です。「視覚化」はキックのイメージングに、「視覚集中力」はキックの正確性に欠かせません。
■サッカーにおいて目の役割が大切なシーンをご紹介いたします。
□センタリングを正確にする瞬間視:
タッチラインぞいにドリブルで攻めこみ、一瞬中を見て、ゴール前にボールを上げるセンタリング。ファーポスト、ニアポスト、あるいはセンターなど、落とした所をどこにするか、高いボールにするかライナー性の低いボールにするかなど、その判断は、一瞬中wwっを見たときに、味方と敵の位置で決めます。したがって、瞬間視の能力が高いほど、得点につながる効果的なセンタリングをすることができるのです。
□瞬間的なプレーに欠かせない眼と手・足の協調性:
フォワードは、シュートコースがあいたと見るや、すばやい足の降りでシュートを放ちます。バックスはキッカーのフォームからシュートコースを予測し、瞬間的に足を上げてシュート・ブロックを行います。オフェンスのスキをねらい、タックルにいくこともあるでしょう。そしてゴールキーパーはシュートを眼で確認し、手足で反応してゴールを守ります。これはすべて、眼と足の協調性の能力の高さにより、その成否が決まります。
□絶妙なスルーパスに必要な深視力:
敵の最終ラインの裏に通す、オフサイドぎりぎりのスルーパスは、決定的な得点チャンスを得るための、最高の技術のひとつです。このパスを成功させるためには、ワン・ポイントにパスを通す、正確な技術が必要です。タイミングはもちろんのこと、距離感と方向性がわずかでもちがえば、バックスの網にかかったり、キーパーにとられたりします。距離感と方向性には、深視力が大きくかかわっています。
□タフな眼球運動が求められるキーパー
90分間22の眼球は、一瞬たりともボールから目線を離すことなく、動き続けなければなりません。さもないと、1004年ワールドカップ地区予選ボーハの悲劇が待ち受けているのです。中でもゴールキーパーはゴールを死守するために、ボールを眼で追い、敵味方全員の動きを常にチェックし、適切なポジショニングを行います。そして、シュートが放たれれば、コースを予測し正確にセービング。キーパーにはタフな眼球運動が求められます。
□壁パス成功のヒケツは周辺視力の利用
壁パスはサッカーのコンビネーション・パスの基本で、この技術をみがくと攻撃力が倍増します。成功のポイントは、ディフェンスに、「さあ、これから壁パスを始めるぞ!」という意図を悟られないこと。そのためには、最初のパスも壁となる人のパスも、パスする方向を見ないようにすることが大切です。視線を向けずに、味方が受けやすい位置を確認してすばやくパスを出すには、周辺視力の能力を十分に高める必要があるでしょう。
■サッカーと目
「アイ・コンタクト」で意志を通わせる
ワールドカップやJリーグなどのトップクラスのゲームでも、ときどきこんなシーンを見かけます。フリーでいるプレーヤーにパスが来ない、パスをしたのによそ見をしていてトラッピングをミスする。こんなチグハグな攻撃ミスが生まれるのは、意志の疎通がないからです。チームメイトがゲーム中に意志を通わせるには、まず声がありますが、サッカーのグラウンドは広いので、なかなか声が届かず、届いても敵に攻略パターンを知られてしまうおそれがあります。そこで有力なコミュニケーションの方法として、眼が使われるわけです。パスやセンターリングをする前に、レシーバーと目と目を合わせ、「出すぞ!」「いいよ!」という会話をします。これにより、コンビネーションの基礎がガッチリとできあがります。眼は口ほどにものをいうのです。
10).カーレース & 11).バイク:
日常生活では決してありえない高速の世界で運転操作をしなければならないカーレースやバイクレースは、すぐれたスポーツビジョンを必要とします。時速100~300㎞で接する景色や目標物を正確に見きわめ、ブレーキングやハンドル操作をするためには、当然すぐれた「動体視力」を必要とします。また、障害物との距離感を正しく目測し、安全な走行を行うには、「深視力」が欠かせません。そして、スタート時や混戦時など、他のクルマやオートバイ、あるいはコーナー、その他の障害物などを瞬間的に見て判断しなければならないときは、「瞬間視」や「周辺視力」の高い能力が要求されるものと思われます。必要レベルを5段階で表示すると ①.静止視力=5 ②.動体視力=5 ③.眼球運動=5 ④.焦点調節/輻輳・開散=2 ⑤.深視力=5 ⑥.瞬間視=5 ⑦.眼と手・足の協調性=4 ⑧.周辺視力=5 ⑨.視覚化能力=5 ⑩.視覚集中力=5 であります。
□プロドライバーは静止視力1.2以上が必要
近づいてくるものを見分けるKVA動体視力は、静止視力より30%~40%低下するといわれています。つまり、静止視力がよいほど、KVAはよいのです。プロドライバーは1.2以上の静止視力を、普通のドライバーでも0.7以上を必要とします。また、霧や雨の走行で視界が悪いときには、コントラスト感度が影響します。コントラスト感度のよさもまた静止視力のよさに関係するので、不十分なときはメガネやコンタクトレンズなどで矯正しなければなりません。
□安全なドライビングに欠かせない深視力
距離感、位置関係、立体感などを知るために必要な深視力は、安全なドライビングの基礎となります。この能力が低いと、事故発生率が高くなるという統計があるので、二種免許取得には、この検査が行われます。走行中、路上の障害物との距離感を目測したり、他のクルマやバイクとの距離や位置関係を把握したり、正確な車幅感覚で他のクルマやバイクと並走したりするときなどにも、深視力が働き、安全走行を可能にします。
□路面状況を的確にとらえます
ドライバーは、路面上の油漏れ、水たまり、小さなパーツなどの障害物などを、いちはやく発見しなければなりません。もし発見が遅れれば、ステアリング、アクセル、ブレーキ、ギアチェンジなどの操作を的確に行えず、タイムロスや事故につながります。高速走行中に細かな路面状況を見極め、小さな障害物を発見するには、動体視力が必要です。しかし、視覚集中力を欠くと、視認しても、必要な映像情報として自覚できません。
集中力には精神と視覚の両方がある。視覚集中力とは、見えていても見えていないことを失くす能力。たとえばアメリカの有名なプロのテニス・コーチ、ティモシィ・ゴールウェイは、正確なグランド・ストロークをするために、テニスボールの縫い目に焦点を合わせるか、集中するようにと指導しました。また、NFLクリーブランド・ブラウンズのコーチだったブラント・コリアは、クォーターバックにレシーバーの体全体ではなく、胸、片、顔、腰などに焦点を合わせるようにと指示しました。ニューヨーク・ジャイアンツの名クォーターバック、スコット・ブルナーもブラウンズの意見には賛成のようで、「目標を小さく決めると、ミスがへり、正確性があげられる」といっています。あるいは、NBAニューヨーク・ニックスで活躍したビル・ブラッドレーは、ニックスに入る前ブリストン大学で、21回連続フリースロー成功という大記録をつくりましたが、その秘訣は、フリースローのときリング全体を漠然と見るのではなく、ネットをリングに固定するためにリングのい下に取り付けられた小さなスチールの穴のひとつに集中することでした。これらの話に共通していることは、目標を漠然と見るのではなく、目標の中のより小さなポイントに焦点を合わせることです。それにより、視覚集中力が一段と高まり、動体視力、眼球運動、深視力などのスポーツビジョンが効果的に働き、ひてはすぐれたプレーやパフォーマンスが生み出されることがあるのです。
□抜くために抜かせないために必要な周辺視力
テール・ツー・ノーズでコーナーにさしかかり、インから一気に抜き去るときには、相手のクルマやバイクの速度やコーナリングのライン取りを、しっかり中心視野で見きわめなければなりません。しかし、それだけを見ていればよいというわけではありません。周辺視力でコーナーフェンスとの距離や周回遅れのクルマなどとの間隔なども見ておかないと、大変な事故につながるでしょう。
□走行ラインのイメージ化に役立つ視覚化
レースに臨む前にレーサーは、コースでの走行ラインを綿密にイメージします。そして、シューマッハなど一流レーサーの走りを見ればわかるように、すぐれたレーサーは、まるで1cmのちがいもないように、同じ走行ラインを走り抜けます。他車との関係やギアチェンジのわずかな遅れなどにより、イメージ通りの走行ができないこともありますが、理想的な走行ラインのイメージングは、理想的な走りにつながります。
□人によってコントラスト感度は
日本初の屋根つき球場、東京ドームができたころ、こんなことがよく起こりました。外野手が高くあがったフライをとるとき、ボールを見失ってしまうことがあったのです。白いボールと屋根の色が、とてもよく似ていたからだす。甲子園の高校野球でも、白いシャツの観客席を背景にしてライナーをとろうとするとき、同じことがときどき起こります。このように、わずかにちがう色や明るさを見分ける能力は、スポーツでは非常に大切で、その能力は、人によってかなり差があることは、あまり知られていません。つまり、コントラスト感度の優れたA選手は、感度の劣るB選手よりも、東京ドームや甲子園で、フライの捕球ミスをする可能性が低いということです。野球に限らず卓球やバドミントンなども、観客の白いシャツにボールやシャトルコックがmぎれることがあるので、コントラスト感度がプレーに影響し、勝敗を左右することもあり得ます。<スポーツのための目の科学的強化法より>
コントラスト感度は、どちらかといえば、静止視力がいいと、いいようです。静止視力1.5の人のコントラスト感度は、0.2の人より上です。したがって、静止視力が非常に低い人は、メガネやコンタクトレンズで視力を上げれば、コントラスト感度も上がります。また、静止視力は明るいほどよくなる。という性質も知っておくとよいでしょう。夜よりも昼間、曇りよりも晴れの日のほうが静止視力は上がり、コントラスト感度もよくなるのです。
動体視力や深視力など、スポーツビジョンの中には、トレーニングによって向上させることができる能力が少なくありませんが、コントラスト感度は、トレーニング効果が期待できません。
■カーレースと目
クルマは見た方向に動く
インディー500のドライバー桃田健史は、日本に初めてスポーツビジョンのコンセプトを紹介したドクター・フィリップ・B・スミスに、ビジョン・トレーニングの方法を伝授されました。そして、それを実行することにより、こんな感想をもらしています。「周りの動きが、以前よりゆっくりと感じられ、視野が広がり、ドライビングに余裕が生まれた」。その彼が、一般ドライバーに向けて、次のような注意を施しています。「車は運転者の見た方向に動く。進もうとする方を見て、車がその方向に動くことは当たり前。しかし、例えば子供の急な飛び出しの時、運転者の眼にはその子供しか映らない。そして、ブレーキをかけた車はその子供めがけて動いてしまう。よけることの出来る余地があったとしても、たいていの場合は、そこまでの余裕は生まれない。ただ単純に、眼をこらして運転することが、必ずしも安全運転につながるとは言いがたいのである。
5).バトミントン & 6).各種ラケットボール:
バドミントンモラケットボールも、ハイレベルのプレーでは、あらゆるスポーツビジョンを高度なレベルで働かせる必要があります。目まぐるしく高速で働くシャトルやボールを目で追い、しっかり見きわめるには、すぐれた「動体視力」や「眼球運動」を必要とし、正確なインパクトには、「深視力」や「焦点調節/輻輳・開散」の能力が求められます。また、相手のポジションを見ながら、スマッシュの方向を決めるときなどは、「瞬間視」の能力が威力を発揮します。そして、不意をつく攻撃に対しては、「眼と手・足の協調性」を働かせ、すばやく反応しなければならないでしょう。必要レベルを5段階で表示すると ①.静止視力=4 ②.動体視力=5 ③.眼球運動=4 ④.焦点調節/輻輳・開散=5 ⑤.深視力=5 ⑥.瞬間視=5 ⑦.眼と手・足の協調性=5 ⑧.周辺視力=5 ⑨.視覚化能力=5 ⑩.視覚集中力=5 であります。
□レシーブを確実にする動体視力
ラケットボールのシュマッシュの初速は、時速200㎞に達し、バドミントンでは、300㎞にもなります。もちろん初速と終速の落差は大きく、手元にきてかなり減速はしますが、やはり打ち出しのシャトルやボールの方向、十分に見きわめることが必要です。このように高速で動く目標を正確に見きわめレシーブするためには、レベルのお高い動体視力が求められます。
□ラリーに勝つために必要なタフな眼球運動
ラリーを制するのは、強靭な脚力といわれています。そしてもう一つ大切なのが、タフな眼球運動です。コートを何回も何回も行き交うシャトルやボールを、視野の中心でしっかりとらえ続けるには、スムーズで俊敏で持続力のある眼球の動きが必要になってきます。眼球ではなく首を先に動かしてシャトルやボールを追ってしまうと、その速い動きに目がついていかなかったり、体軸がブレてショットの正確さが失われることがあります。
□効果的なスマッシュに欠かせない瞬間視
スマッシュチャンスがきたら、思い切りラケットを振りぬき、強烈なシャトルやボールを相手に見舞います。しかしこのとき、シャトルやボールをよく見るだけでは不十分でしよう。相手のポジションをチラッと見て確認し、相手がレシーブしにくい場所をねらってスマッシュを打ちこまなければなりません。したがって、チラッと見て目標を見きわめる能力、つまり瞬間視がスマッシュをより効果的なものにするといえます。
□不意を突かれたときに反応するための眼と手・足の協調性
敵はレシーブしやすい場所に、シャトルやボールを送りこみません。また、反応しやすいリズムやタイミングでも、ストロークをしてくれません。むしろまったく逆です。レシーブしにくいところ、反応しにくいリズムやタイミングで、攻撃をしかけてくるのがふつうです。つまり、不意をつくのがこのゲームの特徴ですから、不意をつかれたときにも、すばやく反応できるように、眼と手・足の協調性を高めておく必要があるのです。
9).スケート:
スケートは、スピードとフィギュアに大別できまが、高速競技となるスピードは、スキーなみにすべてのスポーツビジョンが必要とされます。とくに、「動体視力」や「眼球運動」などは、高速時にものを見きわめる能力として、走行バランスやスケーティングの自在性に、大きく影響するはずです。また、フギュアは体操競技に似て、「深視力」「瞬間視」「眼と手・足の協調性」「周辺視力」「視覚化」などの項目は、最高レベルのスポーツビジョンが求められるものと思われます。そして、フィギュアでもペアの場合は、パートナーとの動きの調和をはかるために、「眼球運動」は高レベルのものが」必要とされるでしょう。必要レベルを5段階で表示すると ①.静止視力=4 ②.動体視力=4 ③.眼球運動=4 ④.焦点調節/輻輳・開散=4 ⑤.深視力=5 ⑥.瞬間視=5 ⑦.眼と手・足の協調性=5 ⑧.周辺視力=5 ⑨.視覚化能力=5 ⑩.視覚集中力=4 であります。
□相手やフェンスとの接触を防ぐ深視力
スピード・スケートでは、コースチェンジのときに接触することがあります。ショートトラックではコースがオープンなので、しばしば接触が起きます。またフィギュアではときたま、フェンスに衝突することがあります。これらのアクシデントの原因は、スケート技術の未熟さだけではなく、深視力の不足も考えられます。相手やフェンスとの距離感の微妙な誤認が、エッジングのタイミングの遅れとなってあらわれることがあるのです。
□周辺視力が影響するバランス感覚
フィギュアの各種パフォーマンスは、すべて身体バランスがカギとなります。わずかにバランスを崩しただけで、ジャンプのタイミングが悪くなったり、安定した着地ができなくなったりします。身体バランスを保つために重要なのは、周辺視力です。また、バック走行では、走行方向とは逆に顔を向けながら、眼の端でフェンスなどを視認しなければなりません。このときも、周辺視力が大いに必要となるはずです。
□ペアとの調和をはかるための眼球運動
フィギュアのペアは、一人よがりなパフォーマンスは許されません。個々のパフォーマンスがいかに完璧でも、調和とれていなければ、高得点は得られません。調和をとるためには、常にパートナーの動きを注視し、パフォーマンスのタイミングをはかります。相手の体の位置、手の位置、足の位置などに、視線を休みなく向け続け、ジャスト・タイミングをねらいます。つまり、正確に目標を追う眼球運動の能力が求められるのです。
□フォームやパフォーマンスを完璧にするための視覚化
スピードでは、ペースダウンはフォームの崩れから生まれます。疲労により筋力レベルが低下しても、理想的なフォームを常にイメージし、それを保つ努力が必要です。また、フィギュアのパフォーマンスでは、各種の技や演技の流れは、演技前に正確にイメージされてなくてはなりません。イメージが漠然としていれば、本番での理想的なパフォーマンスは望めません。これら正確なイメージ化の作業とは、すなわち視覚化です。
24).水泳
競泳はあまり高いレベルの視機能を必要としません。しかしいくつかの項目については、高いレベルの能力が求められると思われます。まず、スタートで飛び込む際に、入水角度を見きわめるときには、「瞬間視」が必要です。また、接戦で隣の選手の泳ぎを見てペースをコントロールするときには、「周辺視力」が情報収拾をすることになります。そして、自分の泳ぎのフォームを、常に理想的なものにするためには、「視覚化」が威力を発揮するはずです。なお、飛込みは、空中姿勢のコントロール、着水のタイミングの決定のために、高レベルも「瞬間視」「動体視力」「深視力」を必要とします。必要レベルを5段階で表示すると ①.静止視力=1 ②.動体視力=1 ③.眼球運動=1 ④.焦点調節/輻輳・開散=1 ⑤.深視力=1 ⑥.瞬間視=3 ⑦.眼と手・足の協調性=1 ⑧.周辺視力=4 ⑨.視覚化能力=4 ⑩.視覚集中力=3 であります。
□デットヒートを勝ち抜くために必要な周辺視力
ゴール前のデッドヒートを制するのは、「根性」です。しかし「根性」をもう少し詳しく分析すると、その中には、相手の動きがよく見えることにより、自分の頑張りが引き出された、ということもあるにちがいありません。しっかり前方に視線を向けて自分の泳ぎに専心しながら、他の選手の泳ぎを旗極めるためには、周辺視力の高い能力が必要とするのです。
□理想的なフォームで好タイムを出すために欠かせない視覚化
たとえばクロールなら、こんなフォーム上のチェックポイントがあるでしょう。手の平の入水角度は適当か。手は体の下を正しく通っているのか。親指が大腿部にふれるまでかいているか。手を水面から抜きあげるとき、小指が最初に出ているか。呼吸は脇の下で行われているか。こうした注意点を、頭の中で具体的に映像としてイメージングすることが大切です。自分の泳ぎと理想との差を確認にすることにより、好タイムは生れます。