度付きスポーツグラス&メガネと目の保護グラス

例えば、サバイバルゲーム時の保護メガネや、サッカー・バスケットボール・ラクロス・アメリカンフットボール時等の度付きゴーグル、学校・クラブチームのスポーツによる眼損傷の予防としての保護用度入りグラスをご提案。

スポーツ用グラスと視力と視機能について

子供から大人までの野球、ゴルフ、スキー、オートバイ、サーフィン等のスポーツ競技は、運動能力だけでなく、目の能力も大変重要と言われています。この様な競技に合ったスポーツグラス選びも大切です。

スポーツグラス度入りの選び方

スポーツの競技(種目)をされる方が全員「目が良い」とは限りません。スポーツ競技時のメガネのフレームやレンズ、サングラスの度付き選びは、競技におけるパフォーマンスの成果が違ってくることご存知ですか。

スポーツゴーグル、サングラス、メガネ等取扱品

スポーツ競技に合ったサングラス、ゴーグル、保護グラスや、普段眼鏡を掛けておられる方に合ったメガネ、度付きサングラス、度入りゴーグル等、様々な競技用途に合った、フレームやレンズ、カラー特性選びをご提案。

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スポーツと視機能(スポーツビジョン)

2013年2月5日 – 5:44 PM

かつて、視力が悪い人はスポーツにおいてハンディを負ったプレーヤーの代名詞とされていました。しかし、昨今のスポーツどきの競技において、安全な設計・機能で視力をも確保できる、各競技に適したメガネはスポーツ競技に適したフレームやレンズができ、勝利や記録に挑むために欠かせない積極的なスポーツ・ツールとして、注目を集めるようになりました。

①.静止視力

各種スポーツビジョンの基礎になる能力

めがねを掛けている人にスポーツ時に合ったスポーツ眼鏡のご提案ショップ。 めがねを掛けている人にスポーツ時に合ったスポーツ用メガネのご提案ショップ。

静止視力とは、学校などの視力検査で調べる止まったものを見分ける能力ですが、この能力は、下記で紹介してきた各種のスポーツビジョンとピッタリ一致するわけではありません。静止視力1.5の人が、1.0の人より動体視力や深視力などのスポーツビジョンがすぐれているとはいえません。しかし、静止視力0.2の人は1.5の人よりすぐれたスポーツビジョンを持つことはできないのです。静止視力が低いと満足なスポーツビジョンが望めず、次のようなハンデを負うことになるでしょう。<スポーツのための目の科学的強化法より>

・動体視力が不十分になり、高速での動くボールを正確に見極めることができません。ボールが小さいほどその影響が著しく、野球・スカッシュ・卓球などで、非常に不利になります。

・深視力が不十分になり、ボールと自分の距離感、相手と自分との距離感の目測を誤りやすくなります。したがって、ボール・スポーツでのパス、シュート、格闘技などでの攻撃と防御に大きく影響します。

・相手や味方の表情の読みが十分に行えず、プレーへの対応が遅れてしまいます。スポーツでは相手や味方の表情、眼つき、視線の行方などを正しくすばやく読み取ることにより、次のプレーを予測することが少なくないからです。

・コントラスト感度に影響がでます。ボールと背景との区別がしにくくなったり、ユニフォームの色が見分けにくくくなります。薄暮や夜間のゲームなどで、照明が不十分なとき、その影響はさらに強くなります。

②.動体視力

動体視力とは、動いているものを正しく見極める能力です。自分と目標との関係を詳しく説明すると、次の3パターンあります。Ⅰ.自分が止まっていて目標が動いているとき Ⅱ.自分が動いて目標が止まっているとき Ⅲ.自分と目標が動いているとき いずれも、目には目標が動いているように見えます。もっとも、最後のケースは、自分と目標が同方向、同速度で動いていれば、目標は止まって見えます。また、動きの種類によっても、2種類に分けることができます。Ⅰ.目標が目に向かって直接的に近づいてくる動き Ⅱ.目標が目の前を横切る動き スポーツビジョンでは、この2種類の動きに対する眼の能力を、別々に測定しています。

<各スポーツにおける必要な場面>:

■スキー

Ⅰ.雪面状態の把握 Ⅱ.コース取りの選択 Ⅲ.旗門通過のタイミングのキャッチ

■野球

Ⅰ.打撃 Ⅱ.野手の捕球 Ⅲ.捕手の補球 Ⅳ.アンパイアの判定

■テニス

Ⅰ.サービス・レシーブ Ⅱ.各種ストロークのレシーブ Ⅲ.主審・ラインズマンの判定

■卓球

Ⅰ.サーブ・レシーブ Ⅱ.ラリー

■アイスホッケー

ディフェンスのインターセプト Ⅱ.ゴールキーピング Ⅲ.審判の判定

■サッカー

バックスのクリアー Ⅱ.フォワードのボレー・シュート、ヘディング・シュート Ⅲ.ゴールキーピング Ⅳ.審判の判定

■カーレース

Ⅰ.遡行中における路面状態の把握 Ⅱ.アクシデントの回避 Ⅲ.ギア・チェンジノタイミングノキャッチ

「ボールが止まって見えた」のお話:

障害打率.313、首位打者5回。監督としては、王、長嶋をひきいて史上空前の9連覇をなしとげた川上哲治は、選手時代、「打率の神様」とまでいわれ、戦前戦後の野球ファンに大きな夢を与え続けました。その神様が、あるとき言いました。「ボールが止まって見えた」。止まっているボールを打つのは、神様ではない私たちでもできそうです。神様たるゆえんは、ボールを止めたことでしょう。もちろんそれはたとえで、ボールが止まっているようによく見えたということだと思いますが、ボールを止めたのは彼の眼で、その眼はスポーツビジョンのうちでも、動体視力だったということができます。

③.眼球運動

眼球運動とは、視線を目標に向ける速さと正確さの能力です。難しい説明はさけますが、視線の方向がサッと動いたり、パッと変わったりするのは、人間が眼の中心で目標をとらえようとするためです。人の目は、中心だけでなくそのまわりでもものをとらえて見ることができます。たとえば部屋の時計を見ると、時計だけだなく、その隣の絵やポスターも眼に入ります。しかし人の目の仕組みは、眼の中心に入るものの色や形がよく見えるようになっていて、そのまわりのものの色や形は、あまりよく見えていないのです。だから眼は、常にめまぐるしく動き、目標を眼の中心に入れて、形や色をはっきり見ようとするのです。なお、眼球運動は、「追従運動」と「跳躍運動」の2種類に分けられます。「追従運動」とは、眼の中心でものをとらえたまま、ものの動きに合わせて眼球を動かす運動です。卓球やテニスなどで、ボールを眼で追い続けるときの運動です。「跳躍運動」とは、いくつもの目標に、パッパッと視線を飛ばしていく動きです。サッカーのゴールキーパーが、味方のバックスの動き、敵のフォワードの動き、ボールの動きなどを、一瞬のうちに見極めるためには、「跳躍運動」が必要になります。

<各スポーツにおける必要な場面>:

■スキー

Ⅰ.雪面状態の把握 Ⅱ.コース取りの選択 Ⅲ.旗門通過のタイミングのキャッチ

■野球

Ⅰ.打者が投球の球道を見るとき Ⅱ.野手の補給 Ⅲ.打者が野手、走者の動きを見ながら打撃を行うとき Ⅲ.捕手が走者の動きを見るとき

■テニス

Ⅰ.サービス・レシーブ Ⅱ.各種ストロークのレシーブ Ⅲ.主審・ラインズマンの判定

■卓球

Ⅰ.サーブ・レシーブ Ⅱ.ラリー Ⅲ.審判の判定

■バスケットボール

Ⅰ.ディフェンス一般 Ⅱ.オフェンス一般 Ⅲ.審判の判定

■サッカー

Ⅰ.ディフェンス一般 Ⅱ.オフェンス一般 バックスのクリアー Ⅲ.ゴールキーピング Ⅳ.審判の判定

■アイスホッケー

ディフェンスのインターセプト Ⅱ.ゴールキーピング Ⅲ.オフェンス一般 Ⅳ.ディフェンス一般 Ⅴ.審判の判定

■カーレース

Ⅰ.遡行中における路面状態の把握 Ⅱ.アクシデントの回避 Ⅲ.ギア・チェンジノタイミングノキャッチ Ⅳ.ピットインでの各種チェック

■ボクシング

Ⅰ.防禦一般 Ⅱ.ステップ・バック、スウェイ・バックのタイミングのキャッチ Ⅲ.攻撃一般 Ⅳ.ウィーピングからの攻撃チャンスのキャッチ Ⅳ.レフェリーの判定

「1分間に162回のラリーを追う眼」のお話:

ある記録によれば、卓球のラリーの世界記録は、1分間に162回とか。1秒たらずでボールが行って帰ってきてしまうわけです。ということは、0.4秒に1回の割合でストロークをくり返すことになります。大変な忙しさです。まず、相手のストロークを見て、くり出されるボールの角度、コース、球質を判断し、実際に飛んでくるボールを目で追い、自分のストロークの方法を決め、ボールをたたき、自分の打球の方向を目で追うーーーーこのように多くのことを、ほんの一瞬のうちに行い、それを何回もくりかえさなければならないのです。天才卓球少女「愛ちゃん」のプレーぶりをみてもわかるように、少女の真剣な瞳は、はげしくすばやくボールを追い続けます。卓球ではさまざまな角度、コースに高速で動くボールを、常に眼で追跡しなければなりません。この目標を追跡する眼の動きを、眼球運動といいます。

④.深視力

眼鏡を掛けている人にスポーツ時に合ったスポーツ用メガネのご提案ショップ。 深視力とは、距離や距離の差を感じる能力です。鉛筆を両手に持ち、両目で見ながらその先を図のように空中で合わせてみてください。ひじは伸ばしきらないように。難しいけれど、なんとか合わせることができます。

では今度は、片目でそれをやってみてください。なかなか合わせられないはずです。このことから、人は両目を使うことによって、眼から2本のエンピツの先までの距離や2本のエンピツの位置関係をたしかめていることがわかります。ではなぜ両目を使うと、距離や位置関係が正確にわかるでしょうか。それは、右目に見える映像と左目に見える映像が、わずかにちがうからです。寝転んで、自分の右足のつま先を見て下さい。左目を閉じて右目だけでつま先を見て下さい。次に左目だけで見て下さい。右目と左目では、少しちがった像が見えます。私たちはこの違った像を、猛の中で1つにまとめることにより、立体的な、つまり距離感や位置関係がわかりやすい像を見ることができるのです。

では、両目を使うことによってなりたつ深視力が不十分だと、距離感や位置関係はまったくわからないのでしょうか。そんなことはありません。私たちは経験や知識によって、距離感や位置関係を知ることができるからです。しかしそれは「ほぼ」であって、十分正確に見極めることはできないということでもあります。場合によっては、経験や知識にじゃまされて、まちがって判断してしまうこともあります。

ちょっと話はそれますが、立体写真は、この原理を利用したものです。左右の目でそれぞれ見たような少し写り方のちがう写真を2枚用意して、1枚を右目だけ、もう1枚を左目だけで見るようにし、あたかも奥行のある写真であるかのように錯覚する仕組みになっています。

<各スポーツにおける必要な場面>:

■スキー

Ⅰ.雪面状況の把握 Ⅱ.エッジング Ⅲ.ターンのタイミングのキャッチ

■バスケットボール

Ⅰ.シュート Ⅱ.パス Ⅲ.ディフェンス全般 Ⅳ.パス・インターセプト Ⅳ.シュート・カット Ⅴ.リバウンド・ボール Ⅵ.カット・イン Ⅶ・フェイント Ⅷ.コンビネーション・プレー

■サッカー

Ⅰ.キック Ⅱ.ドリブル Ⅲ.パス Ⅳ.ヘディング Ⅴ.トラッピング Ⅵ.フェイント Ⅶ.コンビネーション・プレー Ⅷ.ゴールキーピング

■テニス

Ⅰ.サービス Ⅱ.サービス・レシーブ Ⅲ.ストローク Ⅳ.ボレー Ⅴ.球際の強さ

■野球

Ⅰ.バッティング Ⅱ.ゴロの捕球 Ⅲ.フライの捕球 Ⅳ.球際の強さ

■ゴルフ

Ⅰ.ティーショット Ⅱ.アイアン・ショット Ⅲ.バッティング

■カーレース

Ⅰ.道路状況の把握 Ⅱ.障害物の回避 Ⅲ.ハンドル、ブレーキ操作のタイミングのキャッチ

■サーフィン

Ⅰ.波の高さと質の把握 Ⅱ.パフォーマンス開始のタイミングのキャッチ

「タクシードライバーと深視力」のお話:

自動車の運転で事故を起こさないためには、人や物をさけるハンドルさばきやブレーキをかけるタイミングに十分注意しなければなりません。そしてハンドルさばきやブレーキのタイミングは、人や物と自分の距離を正しく見きわめることによって、正確さが生まれます。つまりドライバーには、距離感や位置関係をしっかり見極める眼=深視力が必要だということです。これは自動車にかぎったことではなく、オートバイや自転車でも同じです。社員数1,500名のあるタクシー会社で、何回も事故を起こしたことのあるタクシー乗務員40名に、深視力の検査を行いました。すると40名中25名(62.5%)に異常が認められました。これは、驚くべき比率です。自動車運転免許試験場では、2種免許の取得に際して深視力の検査を行いますが、不合格率は4%にすぎません。さっそその25名に対して、メガネを合ったものにかえさせるなどして、深視力を上げるように指導しました。その結果、明らかに事故が起きる割合が減ったそうです。

⑤.瞬間視

瞬間視とは、一瞬のうちに多くの目標を認知する能力です。瞬間的に見える映像から、必要な情報をどれだけたくさん得られるかは、人によってちがいます。以前フジテレビ系の「なるほど・ザワールド」という番組の中で、瞬間視力を働かせるクイズがありました。ある動く映像を流している途中で、瞬間的に別の止まった映像を映し出すのです。回答者は、瞬間的にあらわれた像が何かを当てます。回答者の中には、いつもすばやく見つける人がいるかと思えば、まったくわからない人もいます。また、同じ人でも瞬間視力は、そのときどきの調子=覚醒度(さえの度合い)によって左右されやすく、いわゆる「乗っている状態」や「ハイな状態」のほうが、能力が高まるようです。

<各スポーツにおける必要な場面>:

■スキー

エッジングやストックワークを行う前に、旗門の位置や雪面状況を見るとき

■サッカー

Ⅰ.スルー・パスを行う直前に味方と敵のポジションを見るとき Ⅱ.センタリングを行う直前 Ⅲ.壁パスを行う直前 Ⅲ.ゴールキーパーがシュートの方向を見きわめるとき Ⅳ.バックトスがシュート・コースをつぶすとき Ⅴ.タックルのタイミングをつかむとき

■テニス

Ⅰ.ストロークを放つ直前に相手のポジションを見るとき Ⅱ.サービス・レシーブを行う直前 Ⅲ.ドロップ・ショットを行う直前 Ⅳ.ネットにダッシュする直前

■野球

Ⅰ.打者が投球前に、球種を知るために投手のフォームやクセを見るとき Ⅱ.走者が盗塁の前に、牽制球を投げるホームに投げるかを知るために、投手のクセを見るとき Ⅲ.外野手が返球する前に、走者の動きを見るとき

■バスケットボール

Ⅰ.アシスト・パスを出す前に、味方と相手のポジションを見るとき Ⅱ.ドライブ・インの最中に、複数のディフェンスのポジションを見るとき

■ボクシング

Ⅰ.パンチを出す前に、相手のガードのスキを発見するとき Ⅱ.相手のパンチのガードをする前に、相手の動きからパンチの方向や種類を予測するとき

■カーレース

シフト・チェンジ、プレーキング、ハンドル操作を行う前に、障害物の位置を確認するとき

「中田選手のダイレクトスパイク」のお話:

1993年の女子バレーボール日本リーグはプレーオフとなり、日立とヨーカドーの間で、優勝をかけた一戦が行われた。両チームの実力は接近し、フルセットに突入。闘魂の花火が散り、ゲームはまさに白熱。日立がいよいよマッチポイントを迎え、ヨーカドーから戻ったボールが、日立の名セッター中田選手にわたり8ました。場内はもとよりヨーカドー側も、「中田は誰にトスするのか?」と注目。その瞬間、中田選手は大きな賭けに出ました。意表をついたダイレクトスパイクを鮮やかに決め、熱い戦いに幕をおろしたのでした。中田選手のこのプレーを、ファンや解説者は「センス抜群」「神業」などと興奮してほめたたえましたが、しかしそれではこのプレーのすばらしさを、本当に理解したことにはなりません。実はここに、スポーツビジョンの瞬間視が見事に生かされていたのです。日立のYコーチは、いいます。「セッターにボールが返ってくるとき、常にチラッと相手のコートを観察させる」つまり瞬間視の大切さを、同コーチは中田選手に植え付けていたのです。そしてチラッと観察してから、次の作戦をとるよう指示しています。「もし、フォーメーションにスキがあれば、ちゅうちょなくフェイントやダイレクトスパイクを仕掛ける」中田選手の「抜群なセンス」や「神業」は、瞬間視の能力を日頃から強く意識してトレーイングすることにより引き出されたということができます。もし中田選手の瞬間視力が低ければ、相手の守備陣形のスキをついた、的確なダイレクトスパイクは成功しなかったでしょう。もちろんダイレクトスパイクという高度な技術も欠かせませんが、守備のスキを瞬時に発見し、「ダイレクトスパイクでいこう!」と判断し、どこへ打つのがいちばんよいかを知るには、瞬間視力がものをいいます。

⑥.目と手・足の協調性

目と手・足の協調性とは、視覚で認識した目標に対しすばやく手(または体・足)で反応する能力。ものを見て動作を始めるまでの眼と脳と手・足のメカニズは、カンタンに説明すると次の通りです。眼で得た情報を脳に送り、脳でその情報の内容を調べ、今までの知識をもとにある判断を下し、その判断を実現させるために必要な動作の指令を手足に出します。脳がコンピューターだとすれば、眼は入力回路で、手足は出力回路となるわけです。例えば、アメリカの映画で、こんなシーンがありました。旅に出た高校生ぐらいの少年がお金に困り、見知らぬ町の酒場に入って、見るから強そうな荒れ男たちに向かって、大声でこういいました。「誰かオレと賭けをしないか。」男たちは生意気なガキだと胸ぐらをつかんでつめより、ケガしないうちにとっとと出ていけと追い払おうとします。しかし少年はひるむことなく続けます。「54枚のカードの中から、好きなカードを選べ。それをまぜたカードをよく切って、放り投げろ。オレは、選んだカードに空中でナイフを突き刺す」。酒場中が大笑いをしました。けれど少年は真剣です。その真剣さに負けて、酒場ぼ何十人もの客が書けに参加することになりました。もちろん少年に賭ける者は誰一人としていません。荒くれ男の一人がカードを選び、54枚のカードを空中に放り投げました。カードは飛び散り、ヒラヒラと落下してきます。ナイフを左手に持った少年の目が、チカチカと動き、選ばれたカードを探します。少年の左手が動き、ナイフがキラリと光って飛び、見事1枚のカードを貫いて壁に突き刺さりました。それまで騒然としていた酒場が水をうったように静まり返り、少年は賭けに勝ちました。こんな話など実現にはあり得ないことかも知れません。しかし、目から入力した情報により、すばやく手で正確に反応する能力を高めていけば、常識ではあり得ないことも、実現する可能性があります。神業! ミラクル! アンビリーバブル!などと驚嘆に値するスポーツのプレーは、神の仕業ではなく、奇跡ではなく、信じられないことでもないのです。目と手・足の協調能力を高めた先にある人間の仕業であると考えたほうがよいでしょう。

<各スポーツにおける必要な場面>:

■スキー

Ⅰ.ストックワーク Ⅱ.エッジング

■野球

Ⅰ.バッティング Ⅱ.守備 Ⅲ.盗塁 Ⅳ.スライディング Ⅴ.牽制球

■バスケットボール

Ⅰ.ディフェンスをはずしてのシュート、パス動作 Ⅱ.ドリブル・チェンジ Ⅲ.フェイント Ⅳ.コース・チェック Ⅳ.シュート・チェック Ⅵ.インターセプト

■サッカー

Ⅰ.ディフェンスをはずしてのシュート、パス動作 Ⅱ.フェイントを交えたドリブル Ⅲ.タックル Ⅳ.コース・チェック

■バレーボール

Ⅰ.アタック Ⅱ.ブロック Ⅲ.レシーブ Ⅳ.トス・アップ

■テニス

Ⅰ.ストローク Ⅱ.ボレー Ⅲ.フットワーク

■ボクシング

Ⅰ.パンチ Ⅱ.防御 Ⅲ.ステップ Ⅳ.正確なラッシュ

■ゴルフ

スイング

■カーレース

Ⅰ.ハンドル操作 Ⅱ.ブレーキング Ⅲ.シフト・チェンジ

「サッカーと目と手・足の協調性」のお話:

たとえば、サッカーのゴールキーパーの動きを例にとると、キッカーの立ち足のつま先が、自分の右の方向に向いていることを発見したとき、キーパーはこれまでの経験と知識から、ボールが右にくることを予測し、右足に重心をかけ、右へのセービングを開始します。このとき、目からの入力情報は「立ち足のつま先の方向」、脳の中の知識は「立ち足のつま先の方向で、脳の下下司令、つまり出力情報は「右へのセービング」となるわけです。では、ここで問題です。2人のキーパーがいて、上の列と同じ状況にのぞみました。次の条件は2人とも同じです。 ・体格 ・経験と知識 ・セービング能力 ・眼から脳への情報伝達時間 ・脳内で判断に要する時間 ・動作の種類を手足に伝える時間 ・セービング動作のスポードと質 そして、予測通りキッカーはキーパーの右にキックしました。このとき、1人がセービングに成功し、もう1人が失敗したとしたら、何の差によると考えられるでしょうか。答えは眼です。0.1秒でも早く、「立ち足が右うを向いている」という視覚情報をキャッチすることにより、セービングの成功率は、かぎりなく高くなるのです。

⑦.周辺視力

周辺視力とは、数値で客観的に評価するのは困難だが、周辺視野域における認知力(動きや光、あるいは大きな視標)をチェックする能力。②の眼球運動のところでも説明しましたが、人はものを見るとき、眼玉をグリッと動かして、視野の中心で目標をとらえようとします。これは、視野の中心で見たほうが、ものの色や形がよく見えるからです。視野の周辺にいくほど、色や形がわかりにくくなります。では、1つの目標を目の中心で見るとき(=中心視)、周辺視力は不必要になるのでしょうか。だとすれば、スポーツのプレーの多くは、中心視をもとにしているので、ノールック・パスなどの特殊な場合以外、周辺視力は、役に立ってこないことになります。こんな2つの実験があります。野球の外野手が本塁へバックホームの遠投をするとき、また、バスケットボールでフリースローをするとき、周辺視野をふさぎ中心視だけにすると、コントロールや成功率は、どのように変化するか。大学野球部の外野手14人に、ホームベースから85m離れて、バックホームしてもらいました。結果は、周辺視野をふさぐ割合を高くするほど、ホームベースから左右にそれる距離が大きくなりました。同じように大学バスケットボール部の部員20人で行ったフリースローの実験でも、周辺視野が狭くなるにつれて、成功率は悪くなりました。この2つの結果は、周辺視力が体のバランス保持に関係していることを示します。体のバランスは、耳の中の機能によっても保たれますが、視覚にも左右されます。片足立ちして両眼を閉じたり、両岸の外側を紙などでふさぐと、ふらふらして立っていられなくなることからもわかります。周辺視野が狭くなると目標の位置を見極める感覚が低下し、さらに体のバランスが悪くなり、その結果、遠投やフリースローのコントロールが乱れてくるのです。

<各スポーツにおける必要な場面>:

■スキー

Ⅰ.ストックワークのタイミングのキャッチ Ⅱ.エッジングのタイミングのキャッチ

■野球

Ⅰ.ラン・エンド・ヒット Ⅱ.打者が捕手の捕球位置を盗み見するとき Ⅱ.捕手がランナーの動きを見るとき Ⅲ.野手が塁上で捕球しながら、走者のスライディングをよけるとき Ⅳ.牽制球 Ⅴ.投手、野手の正確な投球

■バスケットボール

Ⅰ.セット・シュート Ⅱ.ランニング・シュート Ⅲ.フリー・スロー Ⅳ.パス・チャンスの発見 Ⅴ.ノールック・パス Ⅴ.コース・チェック

■サッカー

Ⅰ.ディフェンスをさけながらのパス、シュート Ⅱ.マークを外すドリブル Ⅲ.パス・チャンスを探しながらドリブル Ⅳ.タックル Ⅴ.コース・チェック

■バレーボール

Ⅰ.サービス Ⅱ.パス Ⅲ.スパイク Ⅳ.ブロック Ⅴ.レシーブ Ⅵ.トス・:アップ

■テニス

Ⅰ.相手のポジションを見ながらのストローク Ⅱ.相手の動きを見ながらのボレー Ⅲ.相手のポジションを見ながらのスマッシュ

■ボクシング

Ⅰ.相手の防御をかいくぐってのパンチ Ⅱ.パンチを防ぐブロッキング、ウィービング Ⅲ.正確なラッシュ

■カーレース

Ⅰ.ハンドル操作のタイミングのキャッチ Ⅱ.ブレーキングのタイミングのキャッチ Ⅲ.シフト・チェンジのタイミングのキャッチ

「マジックジョンソンと周辺視力」のお話:

NBAロサンゼルス・レイカーズを何度も優勝に導き、92年バルセロナ・オリンピックでは、ドリームチームのキャプテンを務め、その後引退したアーヴィン・ジョンソンは、またの名をマジック・ジョンソンといいます。何が魔法といえば、彼のパスワークです。彼はポイント・ガ^-ド(攻撃コントロールタワー)として活躍し、NBAの通算アシスト記録9921を持ちます。アシスト・パス、つまりシュートに直結した決定的なパスをくり出すその技術は、世界最高水準のディフェンス技術を持つはずの他のNBAのプレーヤーたちをも子どもあつかいました。また魔術師のように、体のあちこちからパスをリリースし、ときにはレシーバーをまったく見ることなく、ピンポイント・パスを通したのです。レシーバーを見ないでリリースするパスを、とくにノールック・パスとよびますが、まったく見ていないわけではなく、視野の端で、ちゃんととらえているのです。NBAともなれば、コンビネーションはしっかりしていて、プレーごとに暗黙の了解があります。たとえば、速攻でマジックがセンターからドリブル・インしたときには、フォローのプレーヤーが、必ずマジックの右斜め後から走ってくるなどと、そのときマジックは、自分がシュートに持ち込むふりをして、視線もゴールに向けディフェンスを十分引きつけます。しかし、右眼の端では、右斜め後から走り込んでくる味方を一瞬キャッチし、シュート・リリースの瞬間にノールック・パスに切り替えてしまうのです。彼の起こす魔法には、いくつかのタネがありました。コンビネーション、巧妙なパス・テクニック・・・。そして、眼の端に映るものをキャッチする能力=周辺視力も、その大切なタネの1つだったのです。

⑧.視覚化能力

視覚化能力とは、視覚的なイマジネーションで、目に見えるように頭の中で描ける能力。実際には眼を使わなくても、使ったような効果を得るためには、漠然とイメージするのではなく、本当に自分の体を動かしている感じを眼で見ているようにしらなければなりません。たとえば、テニスでバックハンドのアングル・ショットを視覚化します。そのとき、なんとなくそのプレーをイメージするのではなく、足の踏み込み方、バックスイング、インパクト、フォロースルーなど、一連の動作をこと細かく思い描くのです。そうすると、思い描いた動作に必要な筋肉が、収縮することがあるのです。そんな実験結果も報告されています。たとえ筋肉が収縮しなくても、正確な視覚化を心がけることにより、脳から理想的な動作司令を発するトレーニングとなります。その結果、現実にプレーをするときも、スムーズですばやい動作司令が発信され、すばらしいプレーやパフォーマンスが生み出されることになるのです。

<各スポーツにおける必要な場面>:

■バスケットボール

Ⅰ.シュート Ⅱ.フォーメーション・プレー Ⅲ.フェイント

■サッカー

Ⅰ.シュート Ⅱ.センタリング Ⅲ.PK Ⅳ.フェイント Ⅳ.フォーメーション・プレー Ⅴ.タックル Ⅵ.ゴールキーピング

■テニス

Ⅰ.グランド・ストローク Ⅱ.サーブ Ⅲ.サーブ・レシーブ Ⅳ.パッシング・ショット Ⅴ.アングル・ボレーⅥ.ネット・プレー Ⅶ.ドロップ・ショット

■野球

Ⅰ.牽制球 Ⅱ.バッティング Ⅲ.バント Ⅳ.守備 Ⅴ.フォーメーション・プレー Ⅵ.中継プレー Ⅶ.盗塁

■ボクシング

Ⅰ.ラッシュ動作 Ⅱ.パンチの種類にあわせた防御

■カーレース

Ⅰ.コース取り Ⅱ.他のクルマを抜くとき Ⅲ.クラッチ・ワーク Ⅳ.ハンドル操作

「帝王ニクラウスのプレーを支える視覚化」のお話:

現代のゴルフ界のスーパースターといえば、この人をおいてほかにいません。ジャック・ニクラウス。彼は世界の5大メジャータイトル(全英オープン、全米オープン、マスターズ、全米プロ、全米アマ)すべてで優勝しているだけでなく、そのメジャー優勝回数を合計すると20回にもなります。現代はおろか過去のスーパースターたちを見回しても、そんな驚異的な記録を残した怪物はいません。まさに、ニックネームの「帝王」にふさわしい戦績です。その彼が、ショットの秘訣をこう教えています。「頭の中で映画を見るようなものです。・・・・・まずフィニッシュしたい場所にボールをおいて見る・・・・次にボールがそこに飛んで行く様子を見る・・・・・・最後にこの2つのイメージを実現するにはどのスイングがいいのか、そのスイングを視覚化してみます。ボールを落とす理想的な場所、そこに届くまでのボールの軌跡、そしてその場所への到達と軌跡を実現するための理想的なスイング、それらをすべて頭の中「見る」ことが大切だと言っているのです。もちろん帝王ニクラウスの栄光は、血のにじむような練習、トレーニング、卓越した闘志などを抜きに考えることはできません。しかし、視覚化能力の開発もその栄光の一翼を担っていたということは確かです。

⑨.視覚集中力

集中力には精神と視覚の両方がある。視覚集中力とは、見えていても見えていないことを失くす能力。たとえばアメリカの有名なプロのテニス・コーチ、ティモシィ・ゴールウェイは、正確なグランド・ストロークをするために、テニスボールの縫い目に焦点を合わせるか、集中するようにと指導しました。また、NFLクリーブランド・ブラウンズのコーチだったブラント・コリアは、クォーターバックにレシーバーの体全体ではなく、胸、片、顔、腰などに焦点を合わせるようにと指示しました。ニューヨーク・ジャイアンツの名クォーターバック、スコット・ブルナーもブラウンズの意見には賛成のようで、「目標を小さく決めると、ミスがへり、正確性があげられる」といっています。あるいは、NBAニューヨーク・ニックスで活躍したビル・ブラッドレーは、ニックスに入る前ブリストン大学で、21回連続フリースロー成功という大記録をつくりましたが、その秘訣は、フリースローのときリング全体を漠然と見るのではなく、ネットをリングに固定するためにリングのい下に取り付けられた小さなスチールの穴のひとつに集中することでした。これらの話に共通していることは、目標を漠然と見るのではなく、目標の中のより小さなポイントに焦点を合わせることです。それにより、視覚集中力が一段と高まり、動体視力、眼球運動、深視力などのスポーツビジョンが効果的に働き、ひてはすぐれたプレーやパフォーマンスが生み出されることがあるのです。

<たとえば野球における必要な場面>:

野球の速球投手の投げるボールが、あまり早いとき、

「標識が見えてない初心者ドライバーと校正のお仕事」のお話:

駅前の商店街の狭い道を、対向車や通行人の冷たい視線を浴びながら、バックしていくクルマを、ときどき見かけます。一方通行と知らずに入り込んでしまったのです。誰でも若葉マークのころは、一度や二度、そんな失敗をおかします。赤地に白い横線の進入禁止の標識は、必ず視野に入るもので、見落とそうとしてもなかなか見逃せません。標識を見るときに使われるスポーツビジョンは、主に瞬間視ですが、たとえ瞬間視の能力が低くても、標識は眼に入るはずです。にもかかわらず見逃してしまうのは、やはり集中力が不足しているからです。また、校正という仕事があります。文字の間違いを発見して赤エンピツで直す仕事です。漢字や言葉を知っていれば、誰にでもできそうですが、実はなかなか大変で、素人が行うと見落としがたくさん出てきます。校正に使うスポーツビジョンは、主に眼球運動で、スムーズな視線の移動によって、中心視やで文字をとらえ続けなければなりません。ふつうの読書で行うような視線を飛ばす飛ばし読みをすれば、必ず見逃しが出てきます。しかし、たとえスムーズな眼球運動を行っても、素人はカンペキに校正することができません。まちがった文字を見ているにもかかわらず、気が付かないで通りすぎてしまうことが多いからです。つまり、実際には眼で見ているはずなのに、見えないことがあるのです。なぜ、見ているのに見えないのでしょうか?理由はいくつか考えられますが、そのひとつは、視覚集中力の不足です。集中力が不足すると、「日」「曰」、「日」と「月」、「士」と「土」など、まぎらわしい文字の区別がつかなくなってしまうのです。

⑩.焦点調節/輻輳・解散

自動的にピントを合わせてしまうAF(オートフォーカス=自動焦点)カメラが発明されたとき、誰もがびっくりしました。しかし、人の目の自動焦点調節機能に比べたら、まだまだその能力は幼稚です。なにしろ眼は、遠くは夜空の星から、近くは眼の前数センチのものまで、一瞬のうちにピントを合わせてしまうのですから、そんなすごいカメラはありません。しかも眼はカメラとはちがい、レンズを前後に移動させて焦点距離を変えるのではなく、レンズ(水晶体)の厚みを変えることで、焦点距離を変えているのです。最近のハイテクでも、このような眼の機能をまねすることはできません。さて、スポーツビジョンとして問題になるのは、いろいろな距離の目標に焦点を合わせるために、水晶体が厚みを変えるときの速さと正確さです。たとえば、テニスでは、インパクトの瞬間に手元のボールに焦点を併せ、次にすぐさま相手コートに飛んでいったボールや相手の動きに焦点を合わせなければなりません。また、その逆もあります。とにかく、近い目標と遠い目標を交互に、どれだけすばやく正確にとらえることができるかが、非常に重要になってくるわけです。このときの、水晶体を厚くしたり薄くしたりする能力を、焦点調節能力とよんでいます。また、近くにあるひとつの目標を見るときには、両眼が寄り眼になります。この両眼の動きを輻輳といいます。そして遠くにあるひとつの目標を見るとき、両眼の視線は開いて平行に近づいていきます。これを開散といいます。つまり、焦点調節と輻輳・開散は、いつも連動して起こるのです。近くの目標を見るときは、水晶体を厚くして寄り目になり、遠くの目標を見るとき、水晶体を薄くして視線を開くのです。この連動した動きが、スムーズにすばやく正確に行われることにより、さまざまなスポーツビジョンが効果的に働きます。

<各スポーツにおける必要な場面>:

■野球

Ⅰ.打撃 Ⅱ.ゴロ、フライ捕球 Ⅲ.捕球して送球するとき

■サッカー

Ⅰ.ゴールキーピング Ⅱ.パス Ⅲ.シュート Ⅳ.センタリング Ⅴ.トラッピング Ⅵ.バックスのクリアー

■バスケットボール

Ⅰ.ディフェンスをかわしてのパス Ⅱ.パス・キャッチ Ⅲ.シュート Ⅳ.インターセプト

■バレーボール

Ⅰ.サーブ・レシーブ Ⅱ.スパイク・レシーブ Ⅲ.スパイク Ⅳ.トス・アップ

■テニス

Ⅰ.サーブ・レシーブ Ⅱ.グランド・ストローク Ⅲ.ボレー Ⅳ.スマッシュ

「こんなスポーツこんな場面で威力発揮」のお話:

遠くの目標と近くの目標を、交互に見なければならないスポーツでは、焦点調節、輻輳・開散の能力が、競技力に影響します。たとえば、目標の距離移動が大きいボール・スポーツ、たとえば野球、サッカー、バスケットボール、バレーボール、テニスなどでは、インパクト、パス、シュート、ストロークなどの正確さに関係してくるでしょう。また、アーチェリーや射撃なども、遠くの的と眼の前のサイトを見比べる必要があるので、これらの能力(焦点調節、輻輳・開散)が重要となります。

⑪.コントラスト感度

色や明るさのわずかなちがいを見分ける能力

スポーツによっては眼の光に対する反応はとても重要な結果につながります。 眼が悪い方のスポーツグラスには、競技に合ったスポーツメガネや度付きスポーツサングラスが重要。

人によってコントラスト感度は違う・・・・・

日本初の屋根つき球場、東京ドームができたころ、こんなことがよく起こりました。外野手が高くあがったフライをとるとき、ボールを見失ってしまうことがあったのです。白いボールと屋根の色が、とてもよく似ていたからだす。甲子園の高校野球でも、白いシャツの観客席を背景にしてライナーをとろうとするとき、同じことがときどき起こります。このように、わずかにちがう色や明るさを見分ける能力は、スポーツでは非常に大切で、その能力は、人によってかなり差があることは、あまり知られていません。つまり、コントラスト感度の優れたA選手は、感度の劣るB選手よりも、東京ドームや甲子園で、フライの捕球ミスをする可能性が低いということです。野球に限らず卓球やバドミントンなども、観客の白いシャツにボールやシャトルコックがmぎれることがあるので、コントラスト感度がプレーに影響し、勝敗を左右することもあり得ます。<スポーツのための目の科学的強化法より>

コントラスト感度は、どちらかといえば、静止視力がいいと、いいようです。静止視力1.5の人のコントラスト感度は、0.2の人より上です。したがって、静止視力が非常に低い人は、メガネやコンタクトレンズで視力を上げれば、コントラスト感度も上がります。また、静止視力は明るいほどよくなる。という性質も知っておくとよいでしょう。夜よりも昼間、曇りよりも晴れの日のほうが静止視力は上がり、コントラスト感度もよくなるのです。

動体視力や深視力など、スポーツビジョンの中には、トレーニングによって向上させることができる能力が少なくありませんが、コントラスト感度は、トレーニング効果が期待できません。

 

眼が悪い方のスポーツグラスには、競技に合ったスポーツメガネや度入りスポーツサングラスが重要。   同じような明るさや色を見分ける能力は、完全に網膜にある細胞の感度によるからです。網膜の細胞をトレーニングすることはできません。網膜の細胞は、背景と目標とはっきり見分けるために、こんな働きをしています。左上図Aは、グレーの空に上がったグレーのボールです。私たちの目には、このように映っているかのように思われますが、実は極端に説明すれば左下図Bのように映っているのです。つまり、網膜の細胞は、背景から目標をくっきり浮かび上がらせるために、自動的に目標の輪郭の内側を暗く、輪郭の外側を明るく映すのです。この輪郭を明るく暗くしたりする能力がコントラスト感度で、その能力は人によってもともとちがい、トレーニングする方法は、今のところ見つかっていません。ただし、網膜の細胞が元気なほどコントラスト感度はよくなるので、疲れを十分に取りビタミンA,B2をとることにより、多少の向上が望めます。なお、ビタミンAは,レバー、ニンジン、緑黄色野菜、乳製品などから、ビタミンB2は、牛乳、レバー、緑黄色野菜、卵、ピーナッツなどからとることができます。

■たとえば、スポーツとコントラスト感度によって影響を与える競技には、ボールが背景と区分しにくくなる場合のあるボール・スポーツ、夜間や霧の中で行われることのあるモータースポーツ、スキーでは、コントラスト感度の能力のちがいが、プレーやパフォーマンスに大きな影響を与えます。

■野球

Ⅰ.高いフライを白い雲を背景に捕球するとき。 Ⅱ.低いライナーを白いスタンドを背景に捕球するとき。 Ⅲ.薄暮でのバッテイング。 Ⅳ.薄暮での各種捕球。

■ドライブ

薄暮の中での対向車のスモールランプの確認。

■カーレース

薄暮、雨中、霧中の走行で障害物をさけるとき。

■スキー:

Ⅰ.斜面のアップダウンを見分けるとき。 Ⅱ.コブの大木さを見分けるとき。 Ⅲ.霧の中での雪面の状況把握。 Ⅳ.吹雪の中での雪面の状況把握。

⑫.光 感 度

暗さやまぶしさの中で視力を発揮する能力

眼が悪い方のスポーツグラスには、競技に合ったスポーツメガネや度つきスポーツサングラスが重要。 眼が悪い方のスポーツグラスには、競技に合ったスポーツメガネやスポーツサングラス度付きが重要。

網膜の細胞で能力が決まる・・・・・

光感度は、網膜の細胞の性質によって、その能力が決まります。マメラのフイルムには、光が弱いときでもはっきり映る高感度フィイルムや、光が強いときでもハレーションを起こさない低感度フィルムがありますが、人の目の網膜は、高感度から低感度まで、あらゆる光に感応できるフィルムが用意されていると考えることができます。そして、弱い光に感じる網膜細胞の感度の高さ、一度強い光によって興奮し映像情報を脳に送った細胞がふつうの状態に戻るまでの時間、これらは、人によってちがうことが知られています。この能力は先天的なもので、トレーニングによって高めることはできません。ただし、ビタミンAが欠乏すると夜盲症となり、暗い中での静止視力が低くなるので、レバー、ニンジン、黄緑色野菜、乳製品を十分にとることにより、この能力を正常に保つようにすることが大切です。

光感度は、暗い中で、ものをしっかり見る能力が含まれるので、コントラスト感度と似た能力といえます。薄暗い中で、野球やサッカーの試合をするとき、ボールや選手の動きを正確に追うために必要な能力は、光感度であり、コントラスト感度です。しかし光感度のほうには、暗い中で微妙な明るさや色のちがいを判別する能力だけでなく、明るすぎる背景の中で、ものを正確に見分ける能力や、まぶしいものを見たあとで、ものを正確に見る能力も含まれます。たとえばバレーボールで、体育館の強烈な照明が入った直後に、ボールを見なければならないとき、まぶしさからの回復力が弱いと、ボールを正しく見れず、レシーブやスパイクがうまく行えないことがあるのです。

暗さの中で視力を発揮する能力は、一般的にはあまり重要とはいえません。ある特別な場合、たとえば照明設備の不十分なグラウンドで、薄暮や夜間に野球、サッカー、ラグビーなどの試合をするときに必要とされるだけです。一方、まぶしさからの回復力は、屋外屋内の競技で、照明が視野に入る競技、屋外のボール・スポーツで、ボールが空高く上がる野球、サッカー、ラグビーなど必要とされる場合があります。また、テレビ中継のライトやカメラのフラッシュがあるときも、まぶしさからの回復力が必要とされる場合があります。

■たとえば、各スポーツで、光感度が必要とされる場面として・・・・・・

■サッカー

Ⅰ.照明設備が不十分な薄暮ゲームでの各種プレー。 Ⅱ.晴天どきにスタンドの影から日向にボールが出た瞬間のパス、シュート、トラップ。 Ⅲ.晴天どきに太陽が視野に入った直後のヘディング。

■テニス

Ⅰ.照明設備が不十分な薄暮ゲームでの各種プレー。 Ⅱ.晴天どきにスタンドの影から日向にボールが出た瞬間のストローク。 Ⅲ.晴天どきに太陽や青空が視野に入った直後のサービス、スマッシュ。

■野球

Ⅰ.照明設備が不十分な薄暮ゲームでの各種プレー。 Ⅱ.晴天どきにスタンドの影から日向にボールが出た瞬間のゴロ、フライのキャッチ。 Ⅲ.晴天どきに太陽や青空が視野に入った直後のフライのキャッチ。

■バスケットボール

Ⅰ.照明設備が不十分な体育館でのシュート、パス・キャッチ。 Ⅱ.照明が視野に入った直後のリバウンド。 Ⅲ.テレビ中継のライトが視野に入った直後の各種プレー。

■カーレース

Ⅰ.薄暮の中での障害物の回避 Ⅱ.晴天どきにスタンドの影から日向に出た瞬間の走行。 Ⅲ.晴天どきにスタンドの影から日向に入った瞬間の走行。