バスケットボールにおける目の危険ご存知ですか?
バスケットボールと目と眼損傷
バスケットボールは、走り、ジャンプし、投げ、捕球し、ドリブルをしてシュートをする技術すべてを選手1人1人がもつことが期待されていることである。ここで知っておきたい事に怪我があります。怪我をしてしまうと、せっかくの能力も台無しになってしまい選手生命を脅かしてしまいます。今回メガネのアマガン センター店では、バスケットボールにおける目の怪我にについて貴重な文献がありましたので記載いたしました。(参考文献:SPORTS OPHTHALMOLOGY)
■バスケットボールにおける目の損傷
バスケットボールはスピーディーな動きの競技であるにもかかわらず、防護用具は必要とされていない。このことがスポーツ外傷発生の可能性を高め、米国においてバスケットボールが”眼損傷の最も頻度の高いスポーツ”となる原因となっている。Massachusettsにおける調査では、スポーツによる眼損傷の28.7%がバスケットボールに関係していた。競技スポーツでは、とくにスピード、強さ、技術、スタミナが求められている。他の選手の指、手、肘の故意ではない接触、あるいは意図的な手拳によるパンチ、そしてボールの衝突そのものが眼球や眼窩に対する重篤な外傷の原因となる。不幸なことに、バスケットボールにおける防護用アイウェアの使用は重篤な眼損傷の発生をみた後に考慮されることが多い。防護用ゴーグルがすべての眼損傷を防ぐことができるというわけではないが、それを装用した選手のスポーツによる眼外傷の頻度は著しく低減される。たとえ規則で要求されていなくても、すべての競技レベルの選手に対し防護用アイウェアの使用を奨励しなければならない。
■バスケットボール関連の眼損傷の全体像
バスケットボールは、競技スポーツあるいはレクレーションスポーツのなかで最も眼外傷の頻度が高いスポーツとみなされている。各シーズンに大学選手全体の10%が目の外傷を受けているといわれている。米国失明防止協会(National Society to Prevent Blindness:NSPB)による統計では、バスケットボールは、緊急外来を受診したスポーツやレクレーションによる眼外傷の主原因となっている。1992年、1993年にNSPBに報告された89,221例のスポーツに関連した眼損傷のうち16,825例(18.9%)が、競技またはレクリエーションバスケットボールに関係していた。年齢群別では、バスケットボールは15歳~24歳、25歳~64歳における目の損傷の主因となっている。15歳~24歳では野球による損傷が最も多く、バスケットボールによるものがわずかな差で続いている。ただしこれらの数は損傷の数のみを表しており、発生率を示すものではない。(たとえば、参加人数10万に対する16,825例の発生率は、参加人数100万に対する同じ数の発生に比べると、その割合は著しく高い。)
バスケットボールでは、ドリブルを除いて、その運動技術の多くは腰部以上の高さで行われている。シュートやリバンドプレーは選手の頭上行われる。ディフェンダーがボールに向かって伸ばした手と、ゲームで動きまわる選手たちとの三次元的な空間の位置関係が、顔・頭・眼との不注意な接触の原因となり、それらはすべて避けられないものである。NBAにおいては、センタープレーヤーが最も眼の損傷を受けやすく1.94/1,000AEであり、次にガードが1.41/1,000AE、フォワードが1.30/1,000AEとなっている。この統計上の差は、ゴールに近いというセンタープレーヤー本来のポジションによるものかもしれない。コート内で、センターの選手は最も激しい動きの中心にその身を置くことになる。実際に、選手の動きとパスまわしのほとんどはオフェンシブセンターの周囲で行われている。コートのオフェンシブ・エンドでも、ディフェンスシブ・エンドでも、センターの選手はリバウンドでも、シュートやブロックショットでも常に”戦う”ことが期待されている。
■突出し損傷のメカニズム
競技スポーツでもレクリエーションスポーツでも、眼の損傷のほとんどは眼球に対する”突出し”打撲の結果生じている。しかし、普通のゲームの進展では、眼球自体が突出し型の損傷にあう危険性はほとんどない。バスケットボールのボールは、通常、皮革でつくられているが、屋外用あるいは多目的用ボールの場合はナイロンで表面がカバーされており、重さは567~623.7g(20~22オンス)である。ボールは大きく{全周は、男性用は76.2cm(30インチ)、女性用は72.39cm(28.5インチ)}、しかも比較的硬いため、ボールが眼窩内に入ったり、眼球を直接打撲したりすることは少ない。したがって、ボールによる損傷は、眼窩縁を超えて眼付属器に影響を与えることになる。NBAの選手に生じた損傷の10年にわたる分析では、ボールの直接打撲による眼球損傷はなかったが、ただ1例、ボールによる眼窩周囲の損傷が報告されている。
■鈍力による外傷
バスケットボールのゲーム中の損傷のほとんどは、相手選手の指や肘の接触により生じており、多くはリバウンドプレー中に生じている。典型的な例として、リバウンドボールに対して、2名以上の選手が腕や指を伸ばしてとびっこうとする場合がある。
リバウンドプレーでボールをとった選手は、習慣的に肘を振り回してスペースを確保し、守備側の選手を遠ざけようとし、一方、相手側の選手はボールを奪おうとする。肘や手拳の直接的な打撃は眼窩骨折の原因となります。オフェンシブ・エンドでは、守備側はボールを奪うために手で掃きとろうとし、ボールがシュートされるときには、それを手でブロックしようとする。ガードに生じる多くの損傷は、ゴールに突進する際に、指を広げてシュートを阻止しようとする背の高い選手に近づいたときに起きる場合が多い。ボールを奪ったり、シュートを阻止したり、リバウンドをとろうとしたりするときには、指や手はあらゆる方向に向かって伸ばされる。ときには、オフェンスの選手がディフェンダーを払いのける目的で、片方の腕を振ることもある。
■予防
アメリカにおける文献の中で、バスケットボール中における眼の怪我が紹介されています。その1つが指で眼を突かれたことにより、視神経が切断され、光覚の喪失をきたした18歳の症例、もう1つが、片眼を突かれた失明(光覚も喪失)した29歳男性を報告している。
バスケットボール関連の眼損傷によって悲惨な結果をまねく危険性と可能性があるにもかかわらず、有力な関係団体のいずれも、選手のための防護用アイウェアの使用に関する指令、あるいは明確な勧告をだしていない。アメリカのスポーツにおける特別な装具の使用を管理するNCAA(1994~1995Sports Medicine Hand BooK)は、片眼の選手はアイプロテクターをすべきであると述べている。バスケットボールにおける、その他の眼の保護に関するNCAAの勧告を表記すると、Ⅰ.運動中、矯正用レンズ(コンタクトレンズを含む)を装着するコンタクトスポーツ(男女のバウケットボールを含む)に参加するすべての選手は、(眼の保護に関する規定の)AからDに適合するアイプロテクターを使用すべきである。Ⅱ.矯正用・非矯正用を問わず、外装レンズ(コンタクト以外)を眼の防護用として使用するときは、材質はポリカーボネートまたはCR-39としなければならない。Ⅲ.コンタクトスポーツに参加するすべての片眼の選手(悪いほうの矯正視力が0.25以下)は規定AからDのアイプロテクターを使用すべきである。他のチームスポーツのほとんどは、眼を保護する補助的な方法を有している。フットボールやアイスホッケーの選手はヘルメットやマスクで眼を保護しており、野球のリトルリーグの子どもたちも同様である。さらに上級の野球の選手もバッティングヘルメットによって安全が図られており、それによって多くの危険性を防いでいる。よくある話であるが、バスケットボールにおけるアイウェアの使用の多くは、事故後の反省の結果によるものである。ほとんどの選手は、重大な損傷の後でゴーグルを装着しはじめるが、いつもそうとばかりはかぎらない。1993年のシーズン中、あるプロバスケットボール選手は、2か月以上にわったて重大な眼の損傷を4回も受けたが、一度もゴーグルをしなかった、また、他の選手も治療中はゴーグルを使用するが、治癒すると装着をやめてしまっている。
■結論
バスケットボールは、スポーツ眼損傷の発生数が最も高いとされている。幸いにも、これらの損傷のほとんどは、眼周囲の軟部組織に対するもので眼球そのものに対するものは少ない。ラケットを使うスポーツに比べると、永久的な機能障害をきたす損傷は比較的まれである。バシケットボールでは、センターの選手が最も眼損傷を受けやすいが、それはおそらく、コート内における選手の位置、および多くの危険な外力にさらされる機会が多いということによると思われる。