スポーツ選手を悩ますレーシック手術のこと Ⅱ
スポーツ選手を悩ますレーシック手術のこと Ⅰ ・・・こちらへ
レーシック後の後遺症、合併症について
レーシック手術後の全ての方が後遺症、合併症で悩んでいるのではありません。ここでご紹介することは、レーシック手術のリスクをご紹介させていただきます。<LASIK VISION参照>
■後遺症のリスク:
Ⅰ.コントラスト感度の低下
色や明るさのわずかなちがいを見分ける能力の低下。
Ⅱ.ハロ、グレア
ハロとは、光を見ると、光の周りに輪のような光が見えます。光の種類によっては、光自体が丸くぼやけて見える場合もあります。いずれにせよ本来の光より大きいので、眩しく感じます。
グレアとは、光が本来よりもざらざらと強く、眩しく見える後遺症です。「にじんで見える」と言う人もいます。
Ⅲ.ゴースト現象
画像が重なって見える。
Ⅳ.過矯正(自律神経失調)
レーシック手術は近視状態を矯正して、近視がない状態にすることです。しかしその矯正が行き過ぎてしまうと、「遠視状態」になってしまうのです。これを「過矯正」と言います。
「過矯正で遠視になった」と云うと、近くが見にくいだけと思いがちですが、過矯正になると、見え方が体調に大きく影響するのです。眼は脳と直接つながって、眼の調節筋と自律神経は結びついているため、体調不良を引き起こします。眼は意識しなくても物をハッキリ見ようと懸命の努力をしているのですが、過矯正になった眼は調節筋の限界を超えて、疲れ果ててしまうのです。このような状態が続くと、①.疲れ目 ②.頭痛 ③.首の凝り ④.肩の凝り ⑤.めまい ⑥.吐き気 ⑦.全身倦怠感 ⑧.うつ症状などが表われる。
Ⅴ.サハラ砂漠症候群
周術期(術後2~7日目)に発生、角膜に作ったフタが混濁し、砂嵐状態に物が霞んで見える。角膜を削ってフタ(フラップ)を作る際に使用するマイクロケラトームが原因とされ、びまん性層間角膜炎の状態と考えられる。
マイクロケラトームとは、フラップを作成するために使用する、超小型の電動カンナとノコギリを合体させたようなイメージの精密機器です。
■合併症のリスク:
Ⅰ.感染症
レーシック手術は角膜を手術するため感染症を引き起こす場合がある。屈折矯正手術に伴う角膜感染症の発生頻度は5,000例に1例程度とされる。
Ⅱ.眉間角膜炎
レーシック手術どきに眼球用カンナで角膜の表面を薄くスライスし、フラップ(フタ状のもの)を作ることで、角膜の下に炎症が起こってしまう「眉間角膜炎」が起きることもあります。
Ⅲ.実質内上皮増殖
手術後に戻したフラップの下に、角膜の表面の細胞(角膜上皮細胞)が入り込んでしまうものです。角膜上皮はもともと体の一部ですから、それ自体が有害というわけではありません。しかし、角膜上皮細胞は自力で細胞分裂をして増殖していく力を持っていますので、フラップで増殖して細胞の塊を作ります。これによって、せっかく滑らかに削った部分に濁りが生じたり、凹凸げできて乱視が出たりすることがあります。
Ⅳ.医原性ケラテクタジア
角膜を削った部分が変形を起こし、前方に飛び出してくる症状です。頻度不明となっているのは、手術直後に起こる合併症ではなく、正確なデータがないためです。医原性ケラテクタジアを起こすと、徐々に角膜の屈折力が変化して、治療する前よりもさらに近視が強くなってしまったり、強度の乱視になることがあります。眼鏡やコンタクトレンズを装用しても矯正できない重症例では、角膜移植が必要になることもあります。重篤な合併症で、術後に薄くなった角膜が眼圧の影響を受けて隆起する現象です。
Ⅴ.ドライアイ
眼を守るのに欠かせない涙の量が不足したり、涙の質のバランスが崩れることによって涙が均等に行きわたらなくなり、眼の表面に傷が生じる病気です。
Ⅵ.緑内障のコントロール不良
レーシック術後には角膜が薄くなり変形するので、眼圧測定値が低めに出たり、時には眼圧の測定ができなくなることもあります。日本自は緑内障が多く、40歳以上のうち5%が緑内障に罹患しているという研究結果が出ています。高度近視の方では、緑内障のリスクがより高いのですが、この性質はレーシックを受けても変わりません。レーシックの術後には眼圧が正確に測定できないために、緑内障になっても見逃されてしまう可能性があります。
Ⅶ.正確な白内障手術が困難
将来、白内障の手術をされるときは、濁った水晶体の代わりに入れる眼内レンズによって屈折矯正をするのですが、レーシック術後には、この眼内レンズの度数を正確に計算できなくなります。白内障手術の際には、参考データとして、レーシック以前の眼のデータと手術内容の記録が必要となります。
Ⅷ.フラッグ関連の合併症
マイクロケラトーム(フラップを作成するために使用する、超小型の電動カンナとノコギリを合体させたようなイメージの精密機器です。)でフラップを作成するときに、おきる可能性のある合併症にはさまざまなものがあります。具体的には、不完全フラップ(フラップが部分的にしかできない)、シンフラップ、ボタンホールフラップ(フラップが極端に薄くなってフラップ中央に穴ができたり、不規則な形になる場合)、フラップ作成不能(マイクロケラトームの固定に必要な十分な眼圧上昇が得られない)などがあげられます。これらの頻度はいずれも1%未満ですが、重症の場合は、手術前よりも視力が低下することがあります。
Ⅸ.予後の不安
レーシックは比較的新しい手術で、何十年後かに問題が起こる可能性がある。と不安視されていました。しかし、医師は、次のような見解ですから、ほぼ大丈夫と考えてよいのではないでしょうか。何十年後かに問題は起こることはないでしょう。レーシックはスタートして30年以上の歴史があります。レーシックが原因で、数十年後に突然目に大きなトラブルが起こることは考えにくい。