スポーツに欠かせない視機能トレーニング №6
スポーツに必要な見る能力の種類
=スポーツビジョン
視機能を鍛えることで、スポーツ競技の技術が向上することが様々な研究によって確証され始めています。すなわち、スポーツ競技向上は「技術力+筋力+心の力+目」と思われる。
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①静止視力:
止まっているものを見きわめる能力。スポーツに必要な見る能力の基礎。この静止視力を低下させる近視、遠視、乱視など異常が明らかになったときは、すみやかにレンズによる矯正をすることが大切です。また、左右両眼の視力差が大きいときも、矯正して視力差をなかさなければなりません。
②動体視力:
眼の前に近づいてくるものや眼の前を横切るものをしっかり見る能力。
③眼球運動:
高速で動くものを目で追いかける能力。
④深視力:
距離感や位置のちがいを正しく見きわめる能力。
⑤焦点調節/輻輳開散能力:
遠近を交互に見るときに、すばやく眼のピント合わせをする能力。
⑥眼と手・足の協調性:
見て得た情報により、手や足ですばやく反応する能力。
⑦周辺視力:
眼のはし(視野の周辺)に映るものをキャッチする能力。
⑧瞬間視:
一瞬見て多くのものを見きわめる能力。
⑨視覚化能力:
プレー、パフォーマンスを頭の中で想い描く能力。
⑩視覚集中力:
あらゆる見る能力を最大限に発揮するための集中力。
⑩コントラスト感度:
わずかなコントラストのちがいを見分ける能力。
⑪光感度:
暗さやまぶしさの中で視力を発揮する能力。
⑫利き目と利き手・足の関係:
プレー、パフォーマンスに、有利不利が生まれる。
以上がスポーツビジョンです。
ビジュアル トレーニングで能力が高められるスポーツビジョンの視機能は、次の通りです。
②動体視力/③眼球運動/④深視力/⑤焦点調節 輻輳開散能力/⑥眼と手・足の協調性/⑦周辺視力/⑧瞬間視/⑨視覚化能力/<スポーツビジョントレーニングより>
眼(視機能)のトレーニング
□視覚化のトレーニング
幼いころのなつかしい風景を、できるだけ細かく具体的に、頭の中でよみがえらせます。ペンキのはげたジャングルジム。自転車で渡ろうとして転んだドブのみぞ。頭から落ちたことのあるブランコ。すべり台の向こうに見えたまっ赤な夕焼け。そんなことを思い浮かべるだけでも、視覚化する感覚を養えられます。 <光に対する敏感さを裏付けるコントラスト感度や光感度は、網膜上の光に敏感な視細胞の数と質によって決まり、この数と質は生後変化がないので、トレーニング効果はないとされています。>
・ボールなしのフリースローの練習:
通学通勤の電車の中や、家でぼんやりしているときに、頭の中でフリ-スロー練習を行います。フリースローラインの前に立ち、シュート動作を完璧に行い、ボールがノータッチでリングを通過するところまで、細かく具体的にイメージすることが大切です。<ほとんどすべての視機能が、トレーニングによって向上しますが、次の視機能は、トレーニングが困難です。近視、遠視、乱視、コントラスト感度、光感度>
・シュートの前にイメージする
ゲーム中にも、フリースローやシュートを行なう前に、動作開始から終了までを、細かく具体的にイメージします。イメージングに熱中すると、「この一本を絶対入れなければ」などといったプレッシャーは薄れ、集中力が増します。
・ヒマなときに各種プレーをイメージする
通学通勤の電車の中など、練習時間外のヒマでボヤッとしているときに、自分が取り組んでいるスポーツの各種プレーを、頭の中でできるだけ具体的にイメージします。たとえばあなたが野球のプレーヤーなら、ただなんとなくスイングしているところを思い浮かべるのではなく、内角低めに投げこまれたシュートボールを、腰を引かずに腕をたたんでスイングし、打球が三塁線ギリギリにライナーで跳んでいくシーンをイメージするのです。あなたが知っている最高のプレーをイメージすることが大切です。
・球種ごとの投球フォームをイメージする
ストレート、カーブ、シュート、フォーク、ナックル、シンカー、スライダーなど、それぞれのボールを投げるときの球の握り、手首のひねり、腕のふり、投球の軌跡などを、できるだけ細かく具体的にイメージします。そのとき、対戦相手の具体的なバッターをイメージして、投げるコースまで思い描くと、さらに効果的でしょう。
・打者別の配球をイメージする
外角高めの好きな打者には、内角攻めで二つストライクを取り、腰を引かせます。そしてフィニッシュは、外角高めのボール球で三振。そんな配球は、ゲーム前に、各打者ごとに視覚化しておくとよいでしょう。打者が三振して悔しがり、バットを投げ捨てるところまでイメージします。
・頭の中で各種ストロークをイメージする
ラケットを持っていない時に、スライス、トップスピン、ロブ、スマッシュ、ボレーなどの各スイングを、頭の中でイメージします。漠然と思い浮かべるのではなく、実際にラケットを持って行なっているかのように、事細かに具体的にイメージングすることが大切です。ガットに当たったボールがつぶれ、勢いよく相手コートに飛んでいくボールの軌跡や回転や、落としどころまで映像化してください。
・攻めの戦略をイメージ化する
対戦相手を想定し、攻めの戦略は何パターンかイメージしておくと、実際にゲームに臨んだとき、スムーズにその戦略を実行することができます。サービスレシーブを相手バックにできるだけ深くつきさし、リターンボールが浮いたところを、パッシングでフォアーを抜くなどといった戦略を、臨場感豊かに頭の中で想い描きます。<毎日欠かさず短時間のトレーニングを続けることが大切です。眼は非常に疲れやすいので、長時間のトレーニングは逆効果となります。1日15分前後にとどめてください。>
・頭の中で各種のスイングをイメージする
同じアプローチショットでも、左足が上がっているか下がっているか、爪先が上がっているか下がっているかで、スイングは微妙にかえなければなりません。そんな微妙な点まで含め、想定される各種のスイングを、できるだけ具体的にイメージすます。
・コース戦略をイメージする
コースの攻め方を、事前に頭の中で組み立てます。各打ごとに使用するクラブの番手、ショットの種類、落としどころなどを、ティーショットからホールインまでを、できるだけ具体的にイメージしてください。
・各種戦略をイメージ化しておく
セッターは、相手のレシーブシフトをすばやく見きわめ、自チームが持っている攻撃パターンを、スムーズに引き出さなければなりません。そのためには、日頃から頭の中で、戦略イメージ化でおくことが大切です。こんなレシーブシフトのときは、こんな攻撃あんな攻撃をしようなどと。そして、トスを上げるタイミングを、できるだけ具体的かつ事細かにイメージしなければなりません。<静止視力を低下させる近視、遠視、乱視などは、トレーニング効果がほとんどでないので、メガネやコンタクトによる矯正をしてから行って下さい>
・理想的な走行ラインをイメージする
レース前に、各コーナーに入るときのラインを、できるだけ厳密にイメージ化しておきます。またその際、パワーを落とすポイント、上げるポイント、ステアリング操作のタイミングなど、あらゆる操作テクニックも含めて、頭の中に思い描くようにしてください。
・理想的なフォームをイメージする
暇なとき、走行フォームの腿の上がり、足の蹴り、腕の振り上げなど、自分が理想とするフォームを細かな点まで具体的にイメージします。跳躍、投擲競技なども、同じように具体的に細かくイメージします。<トレーニングを行う際には、体力トレーニングと同様に、継続することが肝心で、特効薬的な効果を持つものではないので、地道にコツコツと続ける>
・理想的なフォームやパフォーマンスをイメージする
練習前後の何もしていない時間に、スピードスケートなら走行フォームを、フィギュアならパフォーマンスの技の1つ1つや演技全体を、できるだけ具体的に細かくイメージします。腕の振り、足の蹴り出し、空中姿勢、バランス、演技の流れなどを、頭の中で描きます。
・理想的なフォームやプレーをイメージする
キック、タックル、スローなどのフォームや、さまざまなフォーメーションなどを、練習やゲーム以外の時間にイメージします。フォームやプレーが、できるだけ具体的に顔の中で像を結ぶようにすることが大切です。
・理想的な泳法をイメージする
自分が理想とする泳ぎのフォームを、練習時間以外にイメージします。ひじの上げ、指先ののばし、足の蹴り方向など、できるだけ具体的に思い描くことが大切です。スタート、ターンのフォームの視覚化も同じように行います。
・理想的なフォームをイメージする
波の状況に的確に対応したパフォーマンスを、常日頃からイメージするようにします。パフォーマンスを開始するタイミング、バランスの維持、足首や上体のひねりなどを、できるだけ具体的に細かく頭の中に映像化します。
・理想的なフォームをイメージする
パフォーマンスやトリックメイクのフォームが自分の頭の中で、具体的に精密にイメージできないと、実際の場面でも完璧を期することができません。ボードに乗っているリアリティーを感じながら、各種パフォーマンスを頭の中で描いてみるトレーニングを行います。
・理想的なフォームやパフォーマンスをイメージする
瞬間的にさまざまな姿勢制御を必要とする体操では、練習時間以外にも、頭の中で各種パフォーマンスを思い描くトレーニングが非常に有効です。つま先から指先まで、緊張感の行き届いたフォームを実現するために、それぞれのフォームをできるだけ具体的に細かくイメージするトレーニングを積みます。
■青木功の「見る」能力
陸上選手の中には、調子がいいときには走路が平らに見え、調子が悪いときには、やや上り坂に見えるという人がいます。もとろん、日によって地面が傾くわけはなく、これは選手のデリケートな精神状態の表われでしょう。それほど視覚は人間の精神状態に左右されやすく、逆に、よい状態をイメージすることによって、常にリラックスした精神状態を保つことができるといえます。世界マッチプレー選手権、ハワイアンオープンなどを制し、50歳を超えたいまも全米シニアツアーで活躍しているプロゴルファーの青木功選手は、かつて、こう語りました。「自分は何番(のクラブ)で何ヤードというような考え方をしない。すべて見た瞬間の直感にしたがう。グリーンまで残り何ヤードだから何番というのではなく、グリーンを眺め、フェアウェイを眺め、何番でよさそうだと頭の中に湧いてくる感覚のほうを大事にする」。つまり、過去の経験だけに頼らず、そのときの自分の飛距離、プレーを的確にイメージしているということです。さすが「世界の青木」と呼ばれるだけのことはあります。きっと青木選手は、距離を正確に判断する深視力などの能力はもちろん、豊かな視覚化能力も持ち合わせていることでしょう。