スポーツに欠かせない視機能トレーニング №3
スポーツに必要な見る能力の種類
=スポーツビジョン
視機能を鍛えることで、スポーツ競技の技術が向上することが様々な研究によって確証され始めています。すなわち、スポーツ競技向上は「技術力+筋力+心の力+目」と思われる。
①静止視力:
止まっているものを見きわめる能力。スポーツに必要な見る能力の基礎。この静止視力を低下させる近視、遠視、乱視など異常が明らかになったときは、すみやかにレンズによる矯正をすることが大切です。また、左右両眼の視力差が大きいときも、矯正して視力差をなかさなければなりません。
②動体視力:
眼の前に近づいてくるものや眼の前を横切るものをしっかり見る能力。
③眼球運動:
高速で動くものを目で追いかける能力。
④深視力:
距離感や位置のちがいを正しく見きわめる能力。
⑤焦点調節/輻輳開散能力:
遠近を交互に見るときに、すばやく眼のピント合わせをする能力。
⑥眼と手・足の協調性:
見て得た情報により、手や足ですばやく反応する能力。
⑦周辺視力:
眼のはし(視野の周辺)に映るものをキャッチする能力。
⑧瞬間視:
一瞬見て多くのものを見きわめる能力。
⑨視覚化能力:
プレー、パフォーマンスを頭の中で想い描く能力。
⑩視覚集中力:
あらゆる見る能力を最大限に発揮するための集中力。
⑩コントラスト感度:
わずかなコントラストのちがいを見分ける能力。
⑪光感度:
暗さやまぶしさの中で視力を発揮する能力。
⑫利き目と利き手・足の関係:
プレー、パフォーマンスに、有利不利が生まれる。
以上がスポーツビジョンです。
ビジュアル トレーニングで能力が高められるスポーツビジョンの視機能は、次の通りです。
②動体視力/③眼球運動/④深視力/⑤焦点調節 輻輳開散能力/⑥眼と手・足の協調性/⑦周辺視力/⑧瞬間視/⑧視覚化能力/⑩視覚集中力<スポーツビジョントレーニングより>
眼(視機能)のトレーニング
□眼と手・足の協調性のトレーニング
・ハエや蚊をたたきつぶす:
ハエや蚊の動きは敏速で、ボーッとしていては捕まえられません。ここだと思ったら、すぐにハエたたきや手ですばやくパシッとたたく。家中追いかけ回しながらすれば、眼と足の協調性のトレーニングにもなります。ちなみに、宮本武蔵はハシで次々とハエをつかまえたといわれています。
ゲームセンターなどにあるモグラたたきが、絶好のトレーニング ツールとなります。コツは、ある一点に眼をこらさず、全体をぼんやり見ておくこと。得点表示されるので、トレーニング効果がわかります。
<ビジュアル トレーニングの効果の測定は難しい。しかし、トレーニング後に、目覚ましい活躍をした選手は少なくない。>
いろはがるたでも百人一首でも、カルタとりは、眼で見たものにすばやく手で反応しなければならない遊びです。この名人の手さばきは、眼にも止まらぬ速さです。彼らの眼と手の協調性は、おそらく抜群でしょう。
・ボールの壁当てキャッチ:
壁に向かって立ち、彼からパートナーにボルを投げてもらい、壁に当たったボールをキャッチします。ボールのコースが予測できないので、壁に当たった位置を眼で見た瞬間に、キャッチ動作に入らなければなりません。初めは壁から離れて立ち、次第に壁の近くに立つようにします。一人でやるときは、壁を背にして立ち、後ろ向きでボールを投げて壁に当て、はね返ってきたボールをキャッチします。
・お手玉:
大豆を小さな布袋に入れ、ボールのようにして遊ぶお手玉は、立派な眼と手の協調性のトレーニングです。なれてきたら、両手2個持ち、片手2個持ち、両手3個持ちと、だんだん数をふやしていきます。野球やテニスなどのボールで行ってもよいでしょう。バレーボールやバスケットボールで行うと、手だけでなく、フットワークも必要になるので、眼と手 足の協調性のトレーニングになります。
<体力トレーニングと同様に、継続することが肝心で、特効薬的な効果を持つものではないので、地道にコツコツと続けることが大切である。>
ゲームセンターなどにあるエアーホッケーは、眼と手の協調性の恰好なトレーニング ツール(道具)となります。相手の打ち返したバックが、高速で壁に当たってからこちらのゴールに向かうようすを正確に眼で見きわめる反応する必要があるからです。
・テニスの連続ボレー:
4メートル前後離れて、ボレーを連続的に行います。はじめはゆっくり行い、徐々にスポードを上げていきます。連続回数が増えるほど、眼と手 足の協調性の能力が高まったことになります。
・卓球で遊ぶ:
瞬間的なスマッシュや意表をつく攻撃に対応するためには、眼と手 足の協調性を十分に生かさなければなりません。ワーワーいいながら卓球で遊ぶだけでも、立派なトレーニングになるのです。
・リフティング・バレーボール: 眼と手/足の協調性トレーニング :
足と頭だけを使ったバレーボールを使います。バレーボールのコートやネットがなくても、2,3人が組になり、ラインだけを引いて、バレーボールのルールでゲームをするとよいでしょう。
・2人のボールリフティング:
サッカーのボールリフティングを、2人で行います。ボールが地面につかないように、足でボールを拾いまくり、正確に相手に返すようにしなければなりません。
<ビタミンAが不足すると、とり目(夜盲症)と呼ばれる視力障害が起き、薄暗い中での視力が著しく低くなりますから、スポーツ選手は、ビタミンAの欠乏に、十分注意する必要があります。>
■SVトレーニングであなたも長嶋になれる!?
巨人軍の長嶋監督は現役時代、「動物的カン」の持ち主といわれていました。弾丸ライナーに瞬間的に反応し、横っ飛びでキャッチする姿などは、まさに人間技を超え、獲物に飛びつくヒョウのようでした。ため息の出るそんなプレーの数々は、眼と手 足の協調性の能力によって支えられているわけですが、その能力はおそらく常人をはるかに超えたものがあったはずです。守備でライナーに反応するとき、プレーヤーはまず打球のコースを見きわめ、その情報を脳に送り、脳から足と手に適切な守備位置と守備姿勢の司令を出します。人間の情報伝達回路は、かなりのスピードの電気信号が飛びかっているため、打球を見てから反応するまでの時間はきわめて速いといえます。しかし、どんなに速くても一定の時間はかかり、その時間はライナーのスピードに追い付けないというのが、現代のスポーツ医学の結論です。つまり、見てから反応したのでは、遅すぎるということです。ではなぜ長嶋は反応できたのか、長嶋に限らず、多くの一流スポーツ選手は、信じられないほどの速さで手 足の反応を起こす場面が少なくありません。この事実は、眼⇒脳⇒手 足という通常の情報伝達回路では説明できません。そこで最近学者の中には、眼⇒手 足という能を省いた回路が存在するのでは、という仮説を導き出す人さえいます。いずれにしても、眼と手 足の協調性の能力を研ぎ澄ますことにより、人間技を超えた世界に近づけるものと思われます。
□視覚集中力のトレーニング
ゴミの投げ入れは、各種スポーツの動作のトレーニングには、まったくなりません。ただし、視覚集中力のトレーニングにはなるので、ゴミ箱の中心にねらいを定め、ポイポイと毎日練習してください。
<トレーニングを行う際には、体力トレーニングと同様に、継続することが肝心で、特効薬的な効果を持つものではないので、地道にコツコツと続ける>
・ネットの止め金をねらってシュート:
バスケットボールのトレーニング
セットシュートやジャンプシュートをするときに、ゴール全体を漠然とねらうのではなく、ネット止め金の1つをねらってシュートします。ねらう止め金は、リングの中心で、手前より奥のほうがyぴでしょう。
・ダーツで高得点をねらう:
ダーツは、遊びながら視覚集中力を高めるために最適です。全神経を集中させて、的の中心にねらいを定めることにより、視覚集中力のトレーニングになります。その他、ゲームセンターの射撃なども、同じようなトレーニングになるでしょう。
ゴルフトレーニング
ゴルフ練習場で練習するときには、ただ漠然とボールを打ってしまいがちです。コントロールも気になりますが、まっすぐ飛べばいいやという程度です。しかし、それでは効果的な練習とはなりません。ドライバーでもアイアンでも、必ずあのネットのあの部分といったぐあいに、具体的な目標をこちんと決め、それを目がけて打つことが大切です。目標はできるだけ小さくするほうが効果的。
巨人軍の長嶋監督は、かつてこんなことを言いました。「ボールのコルクを打て」。コルクとは、ボールの芯になっている部分です。ボール全体ではなく、それより小さい目標をインパクトしようとすることは、視覚集中力を高めるために非常に有効です。野球に限らず、サッカー、テニス、卓球などのボール競技では、球の中心をイメージしてインパクトするようにすることが大切です。
視覚の集中は、精神の集中につながります。日頃から1点を見つめてコンセントレションを高める訓練をしておくとよいでしょう。