スポーツグラス度付き選び WS:Sporty LuX
眼鏡を掛けてスポーツをされる方に適した
スポーツ用メガネ&度付きサングラス
スポーツで眼がいいとは
スポーツ、なかでもボールゲームで「あの選手は眼がいい」というのは、ゲームの状況判断がよく、状況に応じて適切なプレーができることをさすのであって、眼そのものがよいことではない、というのが常識的である。
スポーツにおいて「眼のよしあし」がとくに問題にされ、しばしば話題になるのは野球である。野球にはバッティングアイ、運球眼という言葉があるし、これに類する投手のくせに見抜いて盗塁する眼などもある。
平野によれば、野球で問題になる「眼」は感覚受容器としての眼をさすものではないという。外部からの刺激に対して反応するという、知覚ー運動システムのなかの「眼」であって、しかも、システム全体が円滑に働いているときにのみ「あの打者は眼がいい」と使われるという。
ピッチャーの投げたボールをスウィングするまでのおおまかな知覚ー運動システムは、感覚器を通して入力する視覚情報→ボールの判断→スウィングパターンの選択→筋への指令→スウィングである。この一連過程が円滑に働く打者ということになる。つまり、ボールがカーブしていることはわかるが(感覚器→ボールの判断はいい)、それに応じたカーブ打つちができない選手を眼がいいとは言わないということである。
バスケットボール、サッカー、ラグビー、バレーボールなど多くの選手が複雑に動き回るボールゲームでは、状況判断のよしあしは重要である。
中川がボールゲームにおける状況判断の重要性を指摘し、状況判断には
①プレーするさいに状況がいかにあるかを判断するという知覚的な部分
②それに加え、目下の状況で何をなすべきかという判断
の意味があるが、後者には前者が含まれていて、状況判断といえば後者の意味で使われるのが一般的であるとしている。またよく使われるゲームセンスという言葉は、状況判断能力と同義ではないかと指摘している。
さらに中川は、ボールゲームにおける状況判断には、次の4つの構成要素があるとし想定している。
①外的ゲーム状況に対する選択注意
②ゲーム状況の認知
③ゲーム状況の予測
④プレーに対する決定
このうち、ゲーム状況に対して選択的に注意することについて、眼の感覚器機能の限界や、プレーの時間的制約があるから、ゲーム状況のなかから価値のない情報を捨て、価あるものだけを選択することはプレーにとって不回避なことであるとしている。
状況判断のよしあしといった場合、広義には①~④の過程をへて遂行されたプレーの良否が間違いになるが、状況判断をゲーム状況に知覚する能力、というとうに狭い意味に限定した場合、日頃使われる「眼のよしあし」はゲーム場面に選択的に注意を向け、必要な情報を受容する能力のよしあしとみなすことができる。どこに眼を向けるか、いわゆる眼配りとか、眼のつけどころと言われるものである。
どこに眼を向けているかは、視線の方向からある程度推測することができる。
2012年7月28日スポーツの祭典ロンドンオリンピック開催にあたり、眼が悪いスポーツ愛好家(どんな環境下)の方々に、そのハンディを少しでも解決できる手段を模索いただければと思っています。
スポーツでは競技者は状況の変化にすばやく対応している。
昨今のスポーツ需要に対応可能なフレームシリーズです。機能掛け心地カラーを融合させ、ネガティブイメージのあるメガネを、ポジティブに掛ける楽しみを提案いたします。スポーティなデザインに掛け心地を追求したコレクションです。度付きスポーツサングラスとしても可能です。
WS:Sporty LuX SH101 フレームカラー:ブラック
フレーム素材:フロント:チタン・テンプル:超弾性樹脂 フレームカラー:ブラック
フレームサイズ:54□14-130
フロントはチタン、テンプルは軽量で弾力性のある超弾性樹脂を使用したモデルです。頭部を包み込むような形状でホールド力に優れたフレームです。鼻パッドは鼻との接地面に溝を設けたハイグリップシリコンパッドを使用し、ずれにくく通気性も優れています。モダンには滑りにくいラバー素材にディンプル加工を施し、より滑りにくい仕様になっています。
機能性 ① 機能性 ② 機能性 ③
機能性①.
頭部を包み込むようなラウンドを描くフィット感抜群のフレームデザインです。
機能性②.
お肌と接触面に溝をつけたハイグリップシリコンを使用。ハードな動きにもズレにくく、通気性にも優れています。
機能性③.
滑りにくいラバー素材にテンプル加工を施しました。吸い付くような掛け心地です。
フレームカラー:ダークグレー
フレームサイズ:54□14-130
フレームカラー:ライトグレー
フレームサイズ:54□14-130
フレームカラー:ブルー
フレームサイズ:54□14-130
WS:Sporty LuX SH102 フレームカラー:ブラックマット
フレーム素材:フロント:チタン・テンプル:超弾性樹脂 フレームカラー:ブラック
フレームサイズ:55□14-130
フロントはチタン、テンプルは軽量で弾力性のある超弾性樹脂を使用したモデルです。頭部を包み込むような形状でホールド力に優れたフレームです。鼻パッドは鼻との接地面に溝を設けたハイグリップシリコンパッドを使用し、ずれにくく通気性も優れています。モダンには滑りにくいラバー素材にディンプル加工を施し、より滑りにくい仕様になっています。
フレームカラー:ダークグレー
フレームサイズ:55□14-130
フレームカラー:ライトグレー
フレームサイズ:55□14-130
フレームカラー:ライトグレー
フレームサイズ:55□14-130
WS:Sporty LuX SH103 フレームカラー:ブラック
フレーム素材:フロント:チタン&βチタン テンプル:チタン フレームカラー:ブラック
フレームサイズ:53□17-140
フロントバーは弾力性のあるβチタン、テンプルはチタンを使用したモデルです。頭部を包み込むような形状でホールド力に優れたフレームです。鼻パッドは鼻との接地面に溝を設けたハイグリップシリコンパッドを使用し、ずれにくく通気性も優れています。モダンには滑りにくいラバー素材にスタッド加工を施し、より滑りにくい仕様になっています。
フレームカラー:ブラウン
フレームサイズ:53□17-140
フレームカラー:IPグレー
フレームサイズ:53□17-140
フレームカラー:ブルー
フレームサイズ:53□17-140
WS:Sporty LuX SH104 フレームカラー:ブラック
フレーム素材:フロント:チタン・テンプル:超弾性樹脂 フレームカラー:ブラック
フレームサイズ:54□18-130
フロントバーは弾力性のあるβチタン、テンプルはチタンを使用したモデルです。頭部を包み込むような形状でホールド力に優れたフレームです。鼻パッドは鼻との接地面に溝を設けたハイグリップシリコンパッドを使用し、ずれにくく通気性も優れています。モダンには滑りにくいラバー素材にスタッド加工を施し、より滑りにくい仕様になっています.
フレームカラー:ブラウン
フレームサイズ:54□18-130
フレームカラー:ブラック
フレームサイズ:54□18-130
フレームカラー:ブラック
フレームサイズ:54□18-130
どこに眼を向けているか 注意点
人が対象のどこを見ているかは、視線(眼球運動)を分析することによってわかる。眼球はつねに何らかの運動をしていて、完全に静止した状態はない。しかし、見たい対象を中心視でとらえる場合、視線はある時間、視野内の一点にほぼ静止した状態になる。これを注視といい、注視する対象の範囲を注視点という。視線の停留点もほぼ同じ意味に使われている。視線の動きが5°/sec以内の場合、注視している状態とされることが多い。
眼球運動の検出法は各種あるが、近年の情報処理システムの急速な進歩により、すぐれた注視点解析装置が開発されている(写真2、3)。いずれも、超軽量のCCDカラーカメラにより、注視点を視野画像上にスーパーインポーズし、コンピューターで高速解析処理するシステムである。
このような視線解析は、人工工学、心理学、教育、医学といったさまざまな分野で活用されている。スポーツでも多くの研究がおこなわれているが、他の分野と違って、装置を身につけて激しい動きをするのにはおのずと制約がある。このため、比較的動きの少ないスポーツや動作では、実際にプレーをしている状態での注視点の測定がおこなわれているが、動きの激しいスポーツではこれが難しいため、VTR画面や16mmフィルムに映しだされるスポーツ場面のどこを注目するかを、注視点から求めるという手法がとられることが多い。
しかし、今後は、軽量、コンパクト、テレメートといったこれらの装置によって、かなり動きの激しいスポーツでも実際にプレーしているときの注視点の研究が急速にすすむものと思われる。
「ボールをよく見て」というのがボールゲームの指導の定石である。この他、「ボールから眼を離すな」とも言われる。「ボールから眼を離すな」は「ボールをよく見て」という意味と、一瞬のうちにゲームの流れが変るから、ボールを見ていないと状況が把握できないという意味合いがある。
テニスのストロークやボレーで大事なことは、ラケットを見ることではなく、ボールをよく見ることである。ボールをよく見ていればラケットの真ん中でヒットすることができるようになる。ぬけていくような打球を横っ飛びでキャッチする野球選手のナイスプレーヤーもボールよく見ていればこそである。もちろん、このとき、グローブは見ていない。
このように、ラケットやグローブを見なくても、ボールをよく見ていれば正確なプレーができるのは、身のまわりの三次元の状況を脳に築き、それをしばらく保持する空間知覚の働きによる。私たちの脳には、じっと見つめることによって精度の高い空間知覚をつくり、正確な運動指令を出すことのできる機構があるという。チラッとではなく、じっと見ることによって空間知覚が成立するとすれば、ボールをよく見るということは安定的な空間知覚をつくり、正確な動作のためにきわめて大事なことである。
海野らは、ネットプレーヤー(ネットにつめたプレーヤー)の予測能力を調べている。これは相手の打つストロークが、パスかロブか、クロスかストレートかを予測するもので、相手選手のストロークを16mmフィルムで映し、インパクトの瞬間の何コマ前で予測できたかをしらべようというものである。
これによれば、上級者は相手がパスで抜いてくるか、ロブをあげてくるかという予測にすぐれていて、インパクトの6コマ前(0.25秒)では約80%に正解し、4コマ前(0.17秒)では95%が正解であったという。上級者はインパクト前でほぼ完全にパスかロブかの予測ができることになる。これに対し、初級者は6コマ前では55%、4コマ前ではあ61%で、インパクト後2コマ(0.08秒)で98%の正解で、初級者では相手が打つ以前にパスかロブかの予測することはむずかしいことがわかる。全体的にみると、上級者、初級者ともパスかロブかの判断より、ストレートに打ってくるか、クロスかというコースを予測するほうがむずかしい結果であったという。
メガネ対応:スポーティ眼鏡
ボールから眼が離れたら、うまく打てないのものの代表はゴルフであろう。打った球の行方を早く知りたいという心理が働くのだろうか、眼が離れる(眼が残らない)のは初心者の最大の欠点である。
ゴルフスウィング中の眼の動きを眼球電位図(EOG)で分析したものが図17swある。顔の正面と目線の方向が一致しているときは、EOGの出力がゼロのときで、図の基線上である。基線より上にあるときは、顔の正面に対して眼が左を、基線より下のときは右を見ていることを表している。
これをみると、経験者ではバックスウィングのとき、眼は顔に対して左にあり、ダウンスウィングが始まると、目線はいったん顔の正面に戻ったあと右側に位置する。インパクトのときは右にある。よくいわれる「眼が残っている」状態である。フォロースウィングでは目線はしだいに右から顔の正面に戻っていく。つまり、経験者はバックスウィングからインパクトまではボールそ、インパクト後もわずかな間は、ボールのあったところを見ていることがわかる。ところが、未経験者では、インパクト同時に顔より早くボールの行方を追うように眼は左を向いており(図では上方向)、未経験者特有の「眼が残らない」特徴がわかる。
さて、このように経験者ではスウィング中もボールを見ていないと打てないのだろうか。どうもそうではないようである。熟練したゴルファーはバックスウィングの最初のわずかな時間だけ照明をつけ、ダウンスウィングでは照明を消しても正常通りスウィングができボールを正確に打てるが、バックスウィングの始まる前に照明を消した場合には、ボールを正確に打てないという。
つまり、熟練したゴルファーにとっては、スウィングは脳ですでにプログラムされている自動化された動作である。その場合、視覚情報はバックスウィングのごく最初の部分で必要であって、ダウンスウィングでは必要ではない。熟練者にとっては、バックスウィングの最初までのボールを見ることによって、すでに安定的な空間知覚ができあがり、これをもとに自動化されたスウィングがおこなわれると考えられる。
メガネ対応:スポーティ眼鏡
野球ではボールから眼が離れることを「眼を切る」という。バッティングにおいて、ボールから眼を離さないことは視覚的にどこまで可能であろうか。
ベレンによれば、アメリカの大リーグ選手では、ボールが投手の手から離れ、打者が打つまでの時間は平均0.54secであるという。大リーグのバッターの平均スウィング時間は0.28secなので、差し引きすると投手の手を離れて0.26sec後、つまりバッテリー間のほぼ中間あたりにボールがくるまでに、バッターは振るかどうかの決断をしなければならにことになる。スウィングの速い人ほど、ボールを引きつけて打つことができるからそれだけ有利である。
この間、打者はインパクトする瞬間までボールを追跡しているのだろくか。研究によれば、打者は頭は動かさずに、眼でボールを追跡する。このときの眼球運動は滑動性のpursuit movementであるという。そして、眼球運動はバットかボールにあたる時点まで続いていないという。つまり、実際にはインパクトするまでに「眼は切れている」ことになる。ホームプレートに近くなると相対的にボールが速くなる、あるいは、垂直に近く移動するので追跡できないということも理由であるが、むしろ、打つと決断し、スウィングを開始した時点からのボール情報はインパクトの役に立っていないためでもある。
バッティング動作は瞬時的(バリスティック)な動作である。いったん打つと決断してスウィングを開始したら、途中でスウィングを止めることができない。したがってスウィングを始めてから後に入ってくるボール情報は、むしろ、自分のスウィングとボールとの誤差確認の役割を果たしていると考えれられる。
このように、ゴルフでも野球でもインパクトの瞬間までボールを見ようとすることは大事であるが、実際にはインパクト直前の視覚情報はスウィングの役に立っていない。著名なプロゴルファーが書いた指導者のすべてといっていいと思うが、インパクトのときに「頭を残せ」という表現はあっても「眼を残せ」という表現はない。彼らにとって、ボールに視点を置くことは当然で、あえて言うまでもないことかもしれないが、自動化されたスウィングには眼からの情報受容はバッティングスウィングまでで充分であることを示唆している。
にもかかわらず、眼(頭)を残すことが強調されるのは、情報受容よりも回転運動に関係していると考えられる。ゴルフや野球のスウィングは、体幹の軸を中心にした回転運動である。頭を動かさずに、体幹を回転させ、ひねりもどすときのパワーを利用している。もし、体幹の回転より先に頭が回転する、つまり、球の飛ぶ方向を見てしまえば体幹の回転によるパワー、いわゆる腰のためにロスが出て五体のタイミングもくずれ、ヘッドアップとか、泳いだといわれるスウィングになる。
眼がキョロキョロすれば、それにつれて視野が動く。視点を一点に定めても、頭がグラグラすれば視野も動揺し、安定的な空間知覚が得られない。つまり、ゴルフでは頭を動かさないようにして、スウィング中はボールに、インパクト直後もボールのあったところにおく。野球でも頭を動かさないようにして、インパクトまでできるだけボールを見ようとする。こうすることによって、安定的な空間知覚ができるとともに、ぶれのない回転運動が可能になるからと考えられる。
このよおうに、ひと口に注視点とか、どこに眼を向けるかといっても、それぞれのスポーツによって違い、また持つ意味合いも違うことは当然であるが、ここでは取り上げられなかった多くの研究結果も含めて注視点についてまとめると、熟練者にはおおむね次のような共通点がある。
①バスケットボールのフリースローのように、動かない対象に対してプレーする場合には、注視点を一点に定め、かつ、視点の動揺が少ない。(ボウリング、ゴルフなど)
②対象は動くが、1つであってそれに対してプレーをする場合では、対象を注視し、プレーのぎりぎりまで注視を持続する。(バッティング、テニス、バドミントン、卓球など)
③複数のプレーヤーやボールが複雑に動くスポーツでは、1回に注視時間が短く、注視頻度が多い。また、ボールへの注視時間には短い。視野全体に注意を配るために周辺視を活用し、プレーヤーとボールに均等に注意を配分する。(サッカー、ラグビー、バスケットなど)
メガネ対応:スポーティ眼鏡
どこに眼を向けているか バスケットボール
フリースローをおこなった場合のシューターの注視点とその動揺についての研究によれば、フリースローを始めてからボールがリングを通過するまでの視線は、未熟練者には注視点(視点)の激しい動揺があるが、熟練者にはこれが少ないという。また、未熟練者、熟練者ともにシュートの成功率の高いものほど動揺が少ない傾向があるという。
次に、パスを受け取ってから、シュートするまでの眼球運動を調べた結果によれば、シュートが成功したときには、パスを受けてからボールが手から離れるまでの一連のシュート動作中のかなり早い時期に眼球運動が停止している結果が得られたという。この研究では、そのときどこを注視していたかはわからないが、少なくとも、シュートが成功するときには視点の動揺が少ないことを示唆している。前の結果と合わせると、シュートの成功には視点を一点に定め、動揺させないことが大切であることがわかる。
メガネ対応:保護眼鏡度付き
どこに眼を向けているか サッカー
上記図はゴールキーパーの注視点を分析したものである。AとBがボールを交互にパスしてゴールに近づくとき、熟練したキーパー(SKILLED)と未熟練のキーパー(UNSKILLED)では、どこに注目して状況の把握をしているかを注視点から調べたものである。
一見してわかるように、熟練したキーパーの注視時間は短く、視点の移動は頻繁である。これに対して未熟練者は1回の注視時間が長く、視点の移動が少ない。また、未熟練者はボールの動きに眼がつられてしまい、ボールを追いかける傾向があるが、熟練者はボールよりプレーヤの動きに注目する傾向がある。また、熟練者の特徴の1つは、プレーヤーとボールのあいだに注視点を停留させることである。これは、キーパーは短い時間にできるだけ多くの情報を選択しなければならないので、周辺視を活用して必要な情報を取捨選択しているからではないかとしている。
中山は、プレーヤーとボールの動きをVTRにとり、上位レベルと下位レベルのキーパーがVTR画面のどこに注目するか、両者の違いを調べている。これによれば、下位レベルのキーパーはボールを追う傾向があり、また、注視点の移動が少ないのに対して、上位レベルのキーパーは注視頻度が多く、かつ、1回あたりの注視時間が短い結果がえられている。これは先の結果とほぼ同じ傾向である。
また、ペナルティキックに対してゴールキーパーがどのような注視行動をするかを調べた河合らは、ゴールキーパーはより多くの情報を得るために、時間的にギリギリまで状況をみて判断する傾向があると報告している。
このような注視分析の結果をみると、能力の高いゴールキーパーと低いゴールキーパーはどこに眼をつけるか、いいかえれば、状況のとらえ方に明らかな違いがあることがわかる。
ドリブルシュートをいてくるシューターを16mmフィルムにとり、シューターの軸足が着地した瞬間、インパクトしたとき、フォロースルーのそれぞれの時点でフィルムを止め、シュートがゴールのどこ入るかを予測させた研究である。
これによれば、軸足だけから判断するより、インパクトから判断するほうが正確率が高く、さらにフォロースルーから予測するほうが正解が増すという。初心者、中級者、熟練者とも、フォロースルーから判断した場合には的中率はほぼ95%で差はなかった。また、サッカー経験者は、軸足を見た時点で60%の的中率で何処にシュートが入るか予測できたという。しかし、同じ経験者であっても中級者と熟練者を比較すると、熟練者のほうがインパクトの瞬間のフォームから予測する場合、的中率が高い。このことから、シュート方向を予測する能力は。軸足をみてからインパクトするまでの情報をもとに判断する能力で決まるのではないかとしている。
メガネ対応:保護眼鏡度付き
どこに眼を向けているか ラグビー
安ヶ平らは、状況判断能力が上、中、下と推定されるそれぞれ10名のラグビー選手の注視点を調べている。相手プレーヤーのショートペナルティキックの開始を見てから、状況判断するまでの注視点を比較したものである。これによれば、下位群の注視点は中央付近に集中して動きが少ないのに対し、上位群の注視点は左右に大きく移動するという。これは、上位群のプレーヤーは特定の対象に注意を向けながらも、視野内の対象にも意識を働かせ注意を配分するため、周辺視でディスプレー内の変化をとらえて、そこに注視点を移動するというパターンをとるからではないかとしている。
また、実際の注視点を分析したものではないが、試合中のプレーヤーの顔の向いている方向から、ラグビー選手の注視行動を分析した研究もある。
これはスクラムインとスローインのとき、状況判断能力が上、中、下と推定されるプレーヤーを各1名がどこを注視していたかを調べたものである。
状況判断がいいプレーヤーの注視時間は短く、注視点の数も多かったという。また、注視する方向は三者ともボールを注視する時間が最も多かったが、状況判断のいい選手は他者にくらべてボールを注視する時間が少ないという。全体的に、状況判断のすぐれた選手はボールを見ることを中心としながらも、ちらちらと他の方向に視線を移して、ゲーム状況の把握をしていることが推測されるという。
メガネ対応:保護眼鏡度付き
どこに眼を向けているか バレーボール
スパイカー3人とセッター1人の攻撃をVTRにとり、この攻撃をブロッカーがブロックする状況を想定したとき、画面上の選手の動きにどのように視線を動かすかを調べた研究がある。これによれば、熟練者は視野いっぱいに注視点を移動し、さらえに、スパイカーやセッターの動きに注目して、ボールを注視しない傾向があるという。また、情報は周辺視によって得ていることが推測されるという。一方、未熟練者ではボールを追う傾向があるため、視線の移動範囲が狭く、このため、スパイカーの存在に全く気がつかない場合もあるという。未熟練者はボールの動きから攻撃の情報を得ようよしちるのではないかとしている。
メガネ対応:保護眼鏡度付き
どこに眼を向けているか その他
バスケットボール選手でもポジションが違えば注視点も違うという。また、棒高跳び、ハイジャンプ。剣道、重量挙げでは一流選手と初心者では視線の集中性、つまり動揺度に違いがあるといわれている。
また、変わった例として「かるた」の名人の眼の動き、競馬の馬の見方の比較がある。かるたの名人は、上の句が読まれる直前までは、場の中心の一点に視線が集中しており、すべてのかるたに対して均等に注意が払われているが、一般の人はkつねに視線が移動していて注意が定まらないというい。また、馬の見方もプロとアマではまったく違っていて、アマチュアは馬のスタイルを見るのに対して、プロは馬の目や筋肉などを中心に見ているという。
メガネ対応:保護眼鏡度付き
どこに眼を向けているか 注意点と空間知覚
戦略的能力
さて、以上は、注視点からみた眼の配りであったが、ボールゲームではたんに個々の技術がいいだけでは意味をなさない。それをどのように使うかという戦術的な判断のよしあいがそれにもまして重要である。相手の弱点や攻撃パターンを見つけ出し、次に的確な対応をするためには、プレー状況のどこに注目するかはきわめて大事である。それゆえ、眼の配りや、眼のつけどころがボールゲームでの指導の勘どころともなる。
しかし、注視点からはその選手がどこを見ているかはわかっても、実際にどのような戦術的な判断能力があるかまではわからない、なぜなら、注視点はあくで中心視の位置と移動の量的情報だからである。そこからどのような情報をどれくらい受容したかとか、周辺視からどのように情報をとっているかという質的な側面は、注視点からはわからない。
このため、その選手がどのような戦術的な能力があるかとか、次のプレーうぇお予測できる能力があるかを調べるには注視点の分析ではおのずと限界がある。そこでこのような場合には、ゲームの状況を映したスライドや絵を4~5というわずかな時間見せる、あるいは16mmフィルムやVTRの動きをある瞬間で消すなどの方法を使って、相手がどのようなプレーをおこなおうとしていたか、味方はどのような対応をしたらいいかなどを質問して、その回答から判断するという方法をとることが多い。
いろいろなスポーツでこれらの能力が調べられている。代表的な2、3の例をあげてみよう。
戦術的能力や予測などは、実際にスポーツをしている状況のもとで判断するのがいいがむずかしい点が多い。このため16mmフィルムやVTRのストップモーションを利用することがほとんどである。しかし。画面をもとに判断することが実際のスポーツ場面のもとでの判断と同じであるかどうかは疑問の点もある。
そこで、中川は、実際にグラウンドに選手を配置して状況判断の実験をおこなっている。この実験は弱点をもったディフェンスんの配置を18パターンつくり、この状況を4秒間だけ見させ、相手ディフェンスの弱点はどこか、そこをどのように攻めたらいいかを質問するといものである。
これによれば、大学一軍プレーヤー、二軍プレーヤー、初心者を比較すると、技能レベルが高くなるほど弱点を正しく認知することが多くなったとおう。さらに、その弱点に対してどのように攻めたらいいかという質問には、初心者の回答の20%が誤りであったが、一、二軍ではそれぞれ0%、2%であったという。
しかし、相手の弱点はわかっても、どのように攻めたらいいかという戦術的な知識がなければ十分ではない。中川は、さらに状況を判断する能力と戦術的な知識の保有率との関係を調べている。その結果、戦術的知識を多くもっている選手ほど状況判断能力が高いという関係があったという。
ボールゲームでは、それぞれの技術を上達させることもさることながら、ある程度の技術に達したならば、それをいつ、どのように使うかとう、戦術的な判断能力を磨く方が重要ではなかろうか。しばしば、わが国と欧米の考え方の違いや、コーチングのあり方として指摘される点である。
このような戦術的な判断能力も、重要性は指摘されていても研究はほとんどすすんでいない。ここに載せなかった研究もふくめて、現状では初級者、上級者といった技術レベルの比較にとどまっている。得られている結果は技術レベルによって予測や判断能力に差があるというものがほとんどで、実際のスポーツにすぐ活用できる段階ではない。これらの能力が練習の過程で自然と身につくもなのか、素質はあるのか、トレーニングは可能かといったことにまで研究はすすんでいない。
すでに述べたように、状況判断や予測といった能力は、戦術的な知識があるかないかといったことまでふくめた高次な能力であり、これがいわゆる「眼がいい」ことの本質である。
しかし、その最も基礎にあるのは、ゲーム状況を知覚するための視覚能力、つまり、「感覚受容器としての眼」が完全であるということである。受容器に欠陥があったり、機能が十分発揮されていない場合には、その上に成り立つこれらの能力にも影響があることは十分予想される。
もう1つの意味の「眼がいい」とは何かを次章で述べてみよう。