度付きスポーツグラス&メガネと目の保護グラス

例えば、サバイバルゲーム時の保護メガネや、サッカー・バスケットボール・ラクロス・アメリカンフットボール時等の度付きゴーグル、学校・クラブチームのスポーツによる眼損傷の予防としての保護用度入りグラスをご提案。

スポーツ用グラスと視力と視機能について

子供から大人までの野球、ゴルフ、スキー、オートバイ、サーフィン等のスポーツ競技は、運動能力だけでなく、目の能力も大変重要と言われています。この様な競技に合ったスポーツグラス選びも大切です。

スポーツグラス度入りの選び方

スポーツの競技(種目)をされる方が全員「目が良い」とは限りません。スポーツ競技時のメガネのフレームやレンズ、サングラスの度付き選びは、競技におけるパフォーマンスの成果が違ってくることご存知ですか。

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スポーツと目 7 スポーツビジョン Ⅱ

2012年10月14日 – 1:28 PM

スポーツビジョンとは

スポーツは、自分を含めチームや相手選手、またボールや用具など、すべてが動いているという特殊な状況にあるため、通常の生活で必要とされる以上の「眼の能力」が求められます。このスポーツで必要となる目の能力は、総称して「スポーツビジョン」と呼ばれています。

スポーツビジョンは、いくつかの能力から構成されています。代表的なものでは、動くものに眼を追従させる「動体視力」、素早く視線を切り替える「眼球運動」、広い視野を確保する「周辺視野」、瞬間的に状況を見極める「瞬間視」などがあります。それぞれの能力はスポーツの各場面で重要な働きをしていますが、その度合いはスポーツ種目によって異なります。例えば、野球やテニスのように高速でボールを捉えるスポーツでは、動体視力や眼球運動が重要となり、サッカーやバレーボール、バスケットボールでは、視野の広さが求められるため周辺視野が重要となる、などです。

■スポーツの歴史

まず、スポーツの歴史を簡単に振り返ってみたい。昔、人は生活の糧を得るために獣を倒し魚を獲り、木に登って実を採ったり地面を掘って木の根を得たりしたが、まだスポーツといえるものはなかった。石投げや槍や弓の練習で誰が上手いか競いあい自慢しあったとしても、それはスポーツを楽しむものではなかった。生活に余裕ができ、ルールを決めた競競争が登場して、はじめてスポーツと呼ばれるようになる。

4頭だての戦車を駆り戦場を走りまわった戦士が、ルールを決めて王や観客の前で速さを競う時はスポーツとなり、戦場ではなく観客の前で行われる真剣勝負は、たとえ命がけでもスポーツであった。紀元前500年ごろのエジプトやペルシャには、ボールを投げたり棒で打ったりするスポーツがあったという。オリンボスの神々に捧げられたギリシャのスポーツ大会は有名である。フットボールによく似た競技はエオーマ時代に始まり、イギリスを中心にヨーロッパで行われたが、最初は非常に荒々しい競技であったという。やがて組織化され協会がつくられてサッカーとしての統一ルールがつくられた。

ゴルフの原型はスコットランドで始まり、15世紀には広く行われていた。アメリカで最も人気のある野球は、類似の競技は以前からあったが、1839年Abner Doubdayによって9人対9人で戦う9イニング制に整備された。1865年には賃金をもらってプレーするプロの選手が登場している。19世紀の終わりには一般的なスポーツとなっていた。アメリカで野球と並んで人気のあるスポーツにバスケットボールがある。この競技は1891年にJ.A.Naismithによって考え出され、またたく間に全米に広まった。以上のように、スポーツそのものの起源は古いが、統一されたルールがつくられて近代スポーツの形を整えたのは19世紀半ば以降である。

■Optometrist制度

スポーツビジョンを理解していただくために、も1つ説明しておきたい。アメリカには眼に関する職業として、次の3つの職種があり、それぞれ国家資格として職務が規定されている。1)ophtalmologist:M.D.(medical doctor)の称号をもつ、医師として検査や治療に携わることができ、外科的治療から薬物による治療まで自由に施すことができる。我が国の眼窩医師と同じに考えてよい。

 

視機能機能のトレーニング

 Ⅰ.スポーツ選手と一般の人の比較

アメリカでは以前から、スポーツ選手と一般人の視機能を比較する研究が行なわれている。代表的なものをげると、最も以前のものは1941年のホブソンらの、大学バスケットボールのベストパスプレーヤーは他の選手よりも15広い視野を持っていたというものである。
翌年の1942年、ウィノグラードはKeystone Telebinocular instrument(両眼視を測る装置)などを使って、大学野球選手をレギュラー、補欠、一般学生の3つのグループにわけ組織的に研究しちる。11の視覚機能と、タイミングテストとして単純、選択反応時間で有意にすぐれていた。しかし、視力とバッティングには関係がないこと、また、融像近点や遠点に異常があってもかならずしもバッティングは劣らなかったとしている。
その後、高校生レベルですでに視野と深視力は、一般の高校生によりスポーツ選手のほうがすぐれているというリディーニの報告などもある。
最近では。カリフォルニア州立大学のフットボール選手とソフトボール選手の計54名と、ほぼ同年齢の心理学部の学生54名を比較したものがある。検査項目は11項目で、このうり両群に有意差があったのは左眼視力、輻輳の速さ、眼と手の協応性、反応時間、周辺知覚、眼球運動、近点距離の7つの項目で、いずれにスポーツ選手群のほうが有意にすぐれていたというものである。
この種の研究をまとめたスタインらは、スポーツ選手は、非スポーツ選手よりすぐれた眼を持っており、それは、周辺視で動きを知覚する範囲が広く、眼球運動、周辺視力、動体視力(DVA)、深視力、瞬間視がよく、また斜位量が少ないことであるとしている。
さて、野球選手は眼がいい代表のようにいわれることがあるが、実際にどのような眼を持っているだろうか。プロ中のプロであるアメリカ大リーグ選手400人の調査結果によれば、視力の平均は両目ともに1.3かそれ以上で、矯正レンズwp使用しているものは全体の10%以下、メガネを装用している選手はただ1人であったという。また、焦点調節力や、輻輳調節力、眼球運動などは投手より野手のほうが20~30%すぐれており、これは指名代打制により、投手はバッティングの経験が少ないため能力差がでうのではないかとしている。また、深視力は高校、大学の選手より大リーグ選手のほうがすぐれているので、深視力は野球を通してのトレーニング効果が考えらえるという。
上図は、田村が測定した阪急ブレーブスの選手52名の視力値である(右眼のみ作図)。このデータは矯正している数名を除いた選手のものである。52名のうち1.0未満の選手が6%とごくわずかで、約60%の選手が視力1.5以上である。大リーグの結果とあわせてみても、プロ野球は視力のよい人が飛びぬけても多い集団であることがわかる。視力がよいことはプロ野球選手として必要条件であるようだ。
これらの研究を概観すると、スポーツによって視機能に違いはあるが、スポーツ選手は一般人よりすぐれた「眼」を持っているとみなされる。もともとすぐれた眼を持つ人がスポーツをすると考えるのは無理であろう。スポーツを通して潜在能力が開発されたとするのが妥当ではなかろうか。
さて、スポーツ選手の眼がスポーツを通してトレーニング効果とするならば、視機能はトレーニングによって向上することが証明できなければならない。眼は鍛えられるのであろうか。眼のトレーニングには2つの考えがる。
・両眼視がうまくいかない、輻輳不全など視機能に何らかの異常がある場合、これをトレーニングによって改善する。
・健常者の視機能をトレーニングによってさらに高める。
スタインらは、これまでの研究トレーニングによって向上が認められた視機能として、眼球運動、焦点調節、輻輳調節、動体視力(DVA)などをあげている。また、先の21日間の動体視力のトレーニング(39項)や、バレーボール選手のトレーニング(116項)のように、視機能のうちのあるものは集中的なトレーニングによって向上する可能性がある。視機能のトレーニングは、眼に強い疲労を感じない程度で、少しずつ毎日続けるのがよいとされているが、この分野の研究は日が浅いためトレーニングの原則である強度、時間、頻度、期間といったことはほとんどわかっていない。スポーツ選手のビジュアルトレーニングの方法についてまとめてある「The Athletic Eye」には、1日15分から始まって、2週間目を20分・・・・・・としだいに時間を長くして、30日トレーニングをつづけるプログラムが載っているので、興味のある方は参照されたい(1991年11月に大修館書店から「トップ・プレーヤーの眼」という書名で翻訳出版されている)。

 Ⅱ.簡単なトレーニング方法
視機能のトレーニング方法を紹介するが,次にあげる2つの視機能はトレーニング効果は期待できない。ひとつは視力で、これは今のところメガネやコンタクトレンズによる矯正に頼るしかない。もう一つはコントラスト光感度で、これらは網膜機能によって決まるので、トレーニングすることはできないが、ビタミンA、ビタミンB2の摂取によって向上が期待できる。
日常生活のなかで簡単にできるものにはつぎのようなものがる。
①眼球運動
・動いている電車やバスの窓から、景色や看板の文字を正確に読む。はじめのうちは首を動かして読む。慣れてきたらしだいに眼だけで追うようにする。
②動体視力
・いろいろな数字や文字を書いたボールを放り上げて、床に落ちるまでにつぎつぎに数字や文字を読み上げる。
・同じく、野球ボールに文字を書き、インパクトしたとき何という文字が見えたか答えさせる。あるいは、ボールの縫目を黒く強調し、回転を確認させる。
・動くものを明視するトレーニングは、アメリカのスポーツビジョンでは重視されている。トランポリンをしながら左右に速いスピードで動く数字を読むというトレーニングまである。
③周辺視野
・たとえば、ドアのノブをみながら、ドアの横に何があるか、その横は?それは何色?というように注意を周辺に配るトレーニング。
④焦点調節能力
・この機能は年齢とともに低下するので、むしろ、向上よりも機能を保つトレーニングである。検査に使うブロックフリッパーを使う。
・遠くから近く、近くから遠くに視線を交互に移し、両方の目標とも正確に読み取る。相互の距離、視線移動のスピード、目標の大きさ、明るいところ、暗いところと、いろいろなバリュエーションを加える。
⑤瞬間視
・道を歩きながら瞬間的に後ろを振り返って、後ろの状況をどれくらい正確に把握できるかトレーニングする。
⑥眼と手(足)の協応動作
飛来するボールに正確にサッと手が出たり、足が出たりすることはボールゲームでは欠かせない技術である。
。サッカディック・フィグゼターを使って、点灯したライトをタッチする。あるいは、足のトレーニングでは、なべ壷を裏返したような不安定な台の上に乗り、点灯した方向にすばやく台を傾ける。

スポーツビジョン研究会では、眼と手の協応動作の目的で開発されたAcu-Vision1000(アキュビジョン)に注目している。この装置は、横1.5m×縦1.2mのパネルに120個のライトが配列され、ライトにはタッチセンサーがついているものである。コンピューターのプログラムによって点灯するライトを追って、手でタッチするという「コンピューター版モグラ叩き」である。首を動かしてライトを追うとか、パネルの中央に視線を固定して、周辺視でライトを感知してタッチする、あるいは、ライトが点灯するインターバルを変えてタイミングをずらすなど、およそ考えられる全てのことができる装置である。結果は反応時間、タッチできた個所、見逃した個所などがグラフとなって表される。現在、この装置は4つのプロ野球チーム、日本リーグのチームなどがトレーニング装置として実際に使っている。
この装置を使って、セリーグ2球団、パリーグ1球団のプロ野球選手86名のポジション別の能力を調べた。内訳は投手38名、捕手15名、内野手23名、外野手10名である。
ポジション別では有意差はなかったが、捕手、外野、内野、投手の順に協応動作がすぐれている。
あらゆる方向にサッと手を伸ばすキャッチャーは、眼と手の協応動作がすぐれており、他のポジションに較べて経験の少ないピッチャーの能力が最も低いというポジションの差が明らかになっている。
ブラウンは、この装置によってどのような機能が向上するか実験している。19~26歳の男性せれぞれ20名ずつ実験群とコントロール群にわけ、実験群では週3回、5週間にわたってトレーニングをしたものである。それによれば、実験群では総反応時間(ライトから指が離れるまでの反応時間+次のライトにタッチするまでの移動時間)が661msecから569msecに短縮し、また、視野(周辺で文字の判読ができる広さ)が平均で12°から23.8°に広くなり、眼球運動の正確性が24.24~26.43(指数)に向上したという。また、4週目から有意なトレーニング効果があったとしている。
この装置では、敏捷性の向上とともに、スポーツで重要となる眼球運動、周辺視野での知覚などが総合的にトトレーニングできるのではないかと考えられる。

 視機能のトレーニングによってスポーツパフォーマンスは向上するか

さて、ビュジュアルトレーニングで視機能のうちあるものは向上する可能性が高いが、それがただちにパフォーマンスの向上につながるのだろうか。しかしながら、このおもしろい試みもほとんどおこなわれていない。
個人的なケースではニューヨーク・メッツの三塁手のハワード・ジョンソン選手がAcu-Vision1000で毎日トレーニングをした結果、1987年の記録に対し、1987年は左投手に対するホームランが2本から13本へ、打率は2割1分3厘から3割1分3厘へ、右投手には8本が17本に飛躍的にアップし、このシーズン、ジョンソンは36本のホームラン、2割6分5厘の打率、99打点をあげたという。
このような集中的なビジュアルトレーニングがパフォーマンスをアップさせるのかもしれないが、アップすると断定できる根拠は今のところない。ジョンソン選手の例でも、ビジュアルトレーニング以外の、たとえば、筋力アップなどのほかの要因によるものではないことが証明されなければ、ビジュアルトレーニングの直接的効果とすることができないし、また、コントロール群がないなどの問題点がある。その他にも、ジョンソン選手のような個人的な例や特殊なケースはあるが、科学的なジャーナルに載っている研究はない。この分野の研究はスポーツビジョンの中でも仮説にとどもっている。集中的なビジュアルトレーニングがパフォーマンスを向上させるかもしれない興味深い分野であるが、まず基礎研究を蓄積するのが先であるように思われる