スポーツに欠かせない視機能トレーニング №5
スポーツに必要な見る能力の種類
=スポーツビジョン
視機能を鍛えることで、スポーツ競技の技術が向上することが様々な研究によって確証され始めています。すなわち、スポーツ競技向上は「技術力+筋力+心の力+目」と思われる。
①静止視力:
止まっているものを見きわめる能力。スポーツに必要な見る能力の基礎。この静止視力を低下させる近視、遠視、乱視など異常が明らかになったときは、すみやかにレンズによる矯正をすることが大切です。また、左右両眼の視力差が大きいときも、矯正して視力差をなかさなければなりません。
②動体視力:
眼の前に近づいてくるものや眼の前を横切るものをしっかり見る能力。
③眼球運動:
高速で動くものを目で追いかける能力。
④深視力:
距離感や位置のちがいを正しく見きわめる能力。
⑤焦点調節/輻輳開散能力:
遠近を交互に見るときに、すばやく眼のピント合わせをする能力。
⑥眼と手・足の協調性:
見て得た情報により、手や足ですばやく反応する能力。
⑦周辺視力:
眼のはし(視野の周辺)に映るものをキャッチする能力。
⑧瞬間視:
一瞬見て多くのものを見きわめる能力。
⑨視覚化能力:
プレー、パフォーマンスを頭の中で想い描く能力。
⑩視覚集中力:
あらゆる見る能力を最大限に発揮するための集中力。
⑩コントラスト感度:
わずかなコントラストのちがいを見分ける能力。
⑪光感度:
暗さやまぶしさの中で視力を発揮する能力。
⑫利き目と利き手・足の関係:
プレー、パフォーマンスに、有利不利が生まれる。
以上がスポーツビジョンです。
ビジュアル トレーニングで能力が高められるスポーツビジョンの視機能は、次の通りです。
②動体視力/③眼球運動/④深視力/⑤焦点調節 輻輳開散能力/⑥眼と手・足の協調性/⑦周辺視力/⑧瞬間視/⑨視覚化能力/<スポーツビジョントレーニングより>
眼(視機能)のトレーニング
□瞬間視のトレーニング
写真が比較的たくさん載っている雑誌を、パッと開いてすぐに閉じ、どんな写真がどこにあったかを思い出します。写真だけでなく、見出し文字のいくつかもわかるようになれば、大したものです。 <効果があると信じてトレーニングすることが大切で、疑っている間は何の効果もない。スポーツビジョン トレーニングに限らず、トレーニングはすべてこういえます。>
バスケットボールのトレーニング
瞬間視の能力測定に使うタキストスコープを利用し、数字のかわりにゲーム中のゴール前のシーンを映し出し、どこにセンタリングすれば得点チャンスが生まれるかを判断します。実践にそくした瞬間視のトレーニングとなり、非常に効果的です。 <ほとんどすべての視機能が、トレーニングによって向上しますが、次の視機能は、トレーニングが困難です。近視、遠視、乱視、コントラスト感度、光感度>
タキストスコープとは 瞬間視力を測るときには、タキストスコープ(瞬間露出器)を使います。2m離れたスクリーンに、6ケタの数字を0.1秒間映し、いくつ数字が読めたかで調べます。ふつうの人が読めるのは、4ケタぐらいですが、トップ・アスリートの中には、6ケタすべてを読み取ってしまう人がいます。また、プロ野球選手の中に、6ケタを2段にして12個の数字を並べて映したところ、なんと1段半、つまり9個まで読み取ってしまった人もいます。
街中を歩いているときに、立ち止まって急に後ろを振り返り、またすぐ前に向きなおります。振り返ったとき、どんな建物や景色が見えたか、たくさんのものが記憶できるように 練習します。
・センタリングを上げるポイントをタキストスコープでトレーニング :
瞬間視の能力測定に使うタキストスコープを利用し、数字のかわりにゲーム中のゴール前のシーンを映し出し、どこにセンタリングすれば得点チャンスが生まれるかを判断します。実践にそくした瞬間視のトレーニングとなり、非常に効果的です。
フラッシュカードは、カードの束に数字を書き込み、それをめくって数字も瞬間視するトレーニング ツールです。ページは手でめくり、速度は一定にならないため、タキストスコープほど厳密なトレーニングはできませんが、家などでも手軽に利用できるので、とても便利です。幼児の大脳賦活訓練にも使われている方法です。
Ⅰ.フラッシュカードの作り方
10×15cmのカード(情報カードでもよい)を50枚用意し、それぞれのカードの上端中央に黒い点を書きます。一番最初のカードには何も書かず、次のカードには黒い点から左右1.2cm離して2ケタの数字を書きます。そして次からは、8mmずつ離して同じように書いていき、両端までいったら、今度は8mmずつ黒い点に近づけて書いていきます。子供の場合は、動物や遊びの絵でもかまいません。
Ⅱ.トレーニング方法
目から30〜40cm離して持ち、ページをめくって見えた数字を読み上げます。見つめるポイントは黒い点です。数字が左右に離れるほど読みにくくなるので、ページをめくる速度を遅くします。ページをめくる速度を上げても、数字が読み取れるようにトレーニングします。
瞬間映写機タキストスコープを手作りし、トレーニングに利用することができます。カベに6〜8ケタの数字を書いた紙をはりつけ、アシスタントはそれをボードで隠しておき、一瞬ボードをはずし、またすぐに隠します。トレーニングする人は、それを読み上げます。読めるようになったら、見せる時間をどんどん短くしていきます。
野球のトレーニング
バッティングは球種さえわかれば、6割7割も夢ではないといわれています。投手は球種を見破られないようにするため、ボールの握りをグラブで隠し、投球ホォームを同じにします。しかし、ボールを肩の上にふりあげた瞬間、ボールの振りがバッターから見えます。この瞬間にバッターが瞬間視により球種を判断できればよいのです。そこで、タキストスコープを使い、投手がボールを肩の上にふり上げた瞬間のいろいろな握りの写真を、瞬間的に映し出し、「カーブ」「シュート」「フォーク」などと判断できるようにトレーニングします。
・レシーブシフトの穴を見つけるためにタキストスコープでトレーニング
バレーボールのトレーニング
さまざまなレシーブシフトを写真に撮り、タキストスコープで瞬間映写し、その穴を見きわめるトレーニングを行います。瞬間的に敵の弱点が見きわめられるようになると、セッターは、より効果的な戦略が選択できるようになり、ときにはダイレクトスパイクを打ったり、フェイントを落としたりするなど、リスキーな攻撃を正確に決めることができるようにもなります。
コーチが左右の指で数字を瞬間的に出します。指の合計が偶数なら右、奇数なら左へ数歩ダッシュします。瞬間視と足の協調性のトレーニングになります。
<ビジュアルトレーニングの方法は3種類に分けることができます。①.日常生活の中で器具なしで行うトレーニング ②.簡単な器具を利用して行うトレーニング ③.スポーツビジョンの測定機器を利用して行うトレーニング>
参考までに、ゲーム感覚で行う
瞬間視のトレーニング
最近スポーツビジョンの認知度は急速に高まり、テレビ番組の「ニュースステーション」で特集が組まれたり、幼児向けのマンガに「動体視力が悪いんだな!」などいうセリフが使われたりしていますが、先日は夜のゴールデンタイムのバラエティー番組の中で、「動体視力ゲーム」というゲームが行われていました。出場者はお笑いのタレントとプロバクサーグループ。プロボクサー側は、薬師寺保栄選手や往年の世界チャンピォン輪島功一さんが含まれる豪華キャストです。ゲームは、回答者の前に大きなパネルを2枚立て、30cmほどのスキ間を作り、出題者がパネルの向こうでモノを投げます。回答者には、30cmのすき間を通過する間だけのモノが見える仕掛けになっています。ヤカンやチョンマゲのかつらやスリッパが出題されましたが、スポーツビジョンのトレーニングも行っている薬師寺選手は、ふだんのトレーニングと勝手が違うためか、なかなか解答できませんでした。ちなみにこれは「動体視力ゲーム」ではなく、「瞬間視ゲーム」ですが、このように遊び感覚でスポーツビジョンのトレーニングを行うと、より一層トレーニング効果が上がるはずです。こんなゲームを自分たちで考案して、チームのコンパやパーティで楽しんでみてはいかがでしょうか。